スマートフォンの普及が始まり、大きく変わることは何だろうか? 筆者はその一つに、位置情報を使ったサービスの普及があると思う。こう確信したのは、『フォースクエア 位置情報の威力』という本を編集し、位置情報の可能性を実感したからでもある。

 実際、スマートフォンにはGPS(全地球測位システム)機能が標準搭載されており、このGPSから得られた位置情報を使ったアプリやサービスが、スマートフォンの普及とともに増えつつある。たとえば、位置情報共有サービスで先行する米フォースクエアは2009年3月にサービスを発表、3年間で2000万ユーザーを獲得した。

 世界最大のソーシャルネットワークであるフェイスブックにも2010年8月から位置情報の共有機能「places」(日本版ではスポット)が加わっている。米フェイスブックは2011年末にGowallaという位置情報共有サービスを提供していた企業を買収し、この事業に注力している。

 国内でも位置情報は注目を集めている。例えばNHN Japanが位置情報を友人と共有するサービスである「ロケタッチ」で15万超のユーザーを集めているほか、リクルートは2011年2月から「ホットペッパーグルメ」などのクーポンを位置情報と連携して配信するアプリである「RecoCheck」(レコチェック)で提供している。

スマホとソーシャルネットが人々を外に誘い出す

 では、位置情報サービスが普及すると、世の中はどう変わるのだろうか? 今回、本を編集していてとても印象的だったのは、解説を寄せてくれたレストランオーナーであり、料理の写真を投稿して共有するアプリ「miil」の開発者でもある中村仁氏の次の文章だ。

 飲食店を営む私たちにとっての最大のライバルは「外出をするなとユーザーにささやきかけるインターネット」。それが今までの常識だ。

 しかし、スマートフォンやソーシャルメディアの登場により、その常識が大きく様変わりしつつある。その様変わりとは、まさに「外に出よう」「街へ繰りだそう」「人と会おう」とうながす、そんな潮流である。(中略)位置情報系サービスは、家にこもっていては絶対に楽しむことができない。一言で言えば「リア充」のためのサービスだ。

 スマートフォンでネットを外に持ち出せるようになったことから、自宅に引きこもってPCにかじりついていなくても、ネットを使えるようになった。