毎年この時期は、ECサイトを中心に、世の中の多くのサイトで「上半期ランキング」が発表される。「ヒマネタ」と言ってしまえばそれまでだが、1年の折り返し時点で今年前半を振り返ってみるのも、全く意味がないことではないだろう。

 そこで今回は、筆者が担当しているWebサイト「ITpro Active」の上半期アクセスランキングを紹介しながら、2012年前半のIT製品/サービスのトレンドを振り返ってみたい。念のために説明しておくと、ITpro Activeは、企業情報システムを構築するためのIT製品/サービスの選択・検討に役立つ情報を日々提供しているサイトである。

オンラインストレージの機能の違いを知る

 では早速、2012年上半期(1月~6月)に、ITpro Activeでよく読まれた記事を紹介していこう。上半期に最も読まれた解説記事は、続々と新サービスが登場しているオンラインストレージの比較記事『Google参入に活気づくオンラインストレージ、主要12サービスを徹底比較』だった。

 クラウド上にファイルを保存できるオンラインストレージは、マルチデバイスからのファイルアクセス用途やバックアップ用途として、なくてはならないサービスになりつつあるが、ベンダーによって機能の差も大きい。その辺を確かめたいという読者ニーズと、ぴたり一致したのだろう。ITpro Active史上、最高のアクセス数を記録した。

 クラウド関連の記事としては、このほかに『[クラウド型バックアップ]BCP強化の要として注目度アップ、料金や設定のしやすさなどに違い』が12位に、『APIでクラウドの利便性高める、運用自動化やサービス連携を実現』が20位にランクインした。

 前者は、ファーストサーバ事件でその重要性が改めて再認識されているデータバックアップをクラウドサービスとして提供する「クラウド型バックアップサービス」の動向と選択のポイントを解説した記事である。後者は、クラウドの運用管理を制御できる「管理用API」について詳しく解説した記事だ。

重要なインフラ構成要素になったハイパーバイザー

 2位にランクインしたのは、『サーバー仮想化ソフトの主要4製品を比較する』。ハイパーバイザーの「VMware vSphere」「Xen」「Hyper-V」「KVM」について、性能、ライセンスコスト、運用管理機能などを比較した記事である。ハイパーバイザーは極めて重要なインフラの構成要素になりつつある。それだけに、多くの読者の関心を引いたようだ。

 このほかの仮想化関連の記事としては、在宅勤務の用途で改めて注目されているデスクトップ仮想化についての連載記事『仮想デスクトップ活用術』から、『ワークスタイル多様化とBCPを支えるリモートデスクトップ』が16位に、『一番安上がりな方法、既存の社内PCにリモートアクセスする』が18位にランクインした。

スマホから安全に社内ネットワークへアクセスする方法とは?

 3位には、スマートフォンから社内ネットワークにリモートアクセスする方法を基礎から分かりやすく解説した『基礎編:スマホの接続はL2TP/IPsecで、機器やサービスの対応を要確認』が入った。スマートフォンから安全に社内システムにアクセスするための具体的な方法をここまで詳しく解説した記事は、あまりないのではないだろうか。この記事を含む連載『スマホでリモートアクセス』からは、『実践編:ルーター設定のポイントは三つ、スマホはシンプルで簡単』も8位にランクインした。

 この記事に限らず、スマートフォンやタブレットなどのモバイル関連の記事は、相変わらずよく読まれた。アップルのモバイル戦略の背景を探った『第3回 アップルのiPhone、iPadが切り開いた創造的IT活用』が5位に、スマートフォンのセキュリティ対策に関する5つの新常識について解説した『スマートフォンセキュリティ5つの常識』が6位にランクインしたほか、BYOD(Bring Your Own Device)関連の記事も、『生産性向上を求めて採用が加速、セキュリティ強化とルール作りが焦点』が7位に、『安心・安全に「私物スマホ」を使わせるには』が13位に、『私物の業務利用、禁止・黙認から脱却する企業』が14位にランクインした。