Androidを搭載したスマートフォンを2009年末の日本での発売直後から愛用しており(関連記事)、Androidスマートフォンの動向にはそれなりに注目してきたが、今年初めに「Galaxy Nexus」に変えて以来、わくわくするような新製品に出会えていなかった。しかし、NTTドコモが発売を予定している「らくらくスマートフォン F-12D」(以下らくらくスマートフォン、関連記事)を見て、いよいよ単一製品でiPhoneに対抗し得るAndroidスマートフォンが登場するのではと、わくわくしながら期待を高めている。

 らくらくスマートフォンがiPhoneに対抗し得ると考えるのは、次の2点が備わっていることを期待しているからだ。「基本機能に支えられたブランド力」と「製品に付加価値を与えるサービス」である。

らくらくホンシリーズの使いやすさを継承

 ブランド力ということでは、らくらくスマートフォンはシニア世代向けに人気の高い従来型携帯電話(フィーチャーフォン)である「らくらくホン」シリーズの新製品であり、十分な認知度を持つといえる。らくらくホンは1999年10月の発売以来、累計販売台数が2000万台を超える(2011年7月時点)など長きにわたって多くのユーザーから支持されており、「らくらく」といった文言を見るだけですぐに操作のしやすさを想起できるほどのブランド力を持つ。

 このブランド力を支えるのは、らくらくホンシリーズの製品開発方針である。携帯電話を使う人の立場に立って「基本機能の使いやすさ」を追求する製品開発方針は、らくらくスマートフォンにも受け継がれている。らくらくスマートフォンはそのほかのスマートフォンの新製品と同様、最新OSであるAndroid4.0を搭載するが、ユーザーインタフェースは独自に開発されたものだ。

 スマートフォンなのでタッチパネルで操作するが、押したような感覚がある大きなボタンや、操作を1方向だけに限定した縦スクロールを採用することにより、初めてスマートフォンを使うシニア世代にとっても使いやすくした。また、従来のらくらくホンにある「ワンタッチダイヤル機能」も踏襲されており、らくらくスマートフォンにも「1」「2」「3」と表示されたボタンがディスプレイ画面内に用意されている。

 さらに、ほかのAndroidスマートフォンと異なり、本体表面にある(物理的な)ボタンは一つだけで、「何か操作をしたいときにはこのボタンさえ押せばよい」(NTTドコモ プロダクト部第二商品企画担当の大堀敬広氏)というように、シンプルな作りを指向している。また、操作方法に迷ったら「使い方ヘルプボタン」を押して使い方を簡単に知ることができたり、「らくらくホンセンター」の専門アドバイザーに専用ボタンで電話できるのも、従来のらくらくホンと同様である。