この連載では,「ダメに見せないことで評価を高める」ための仕事術を扱ってきた。前回は、11のネガティブ特性の最後である「駆け引きできない、せっかち、期を待てない」について説明した。ネガティブ特性は以下の通りである。
- 先を読まない、深読みしない、刹那主義
- 主体性がない、受け身である
- うっかりが多い、思慮が浅い
- 無責任、逃げ腰体質
- 本質が語れない、理解が浅い
- ひと言で語れない、話が冗長
- 抽象的、具体性がない、表面的
- 説得力がない、納得感が得られない
- 仕事が進まない、放置体質
- 言いたいことが不明、論点が絞れない、話が拡散
- 駆け引きできない、せっかち、期を待てない
今回が、このシリーズの最終回である。これまで、11のネガティブ特性について、課題と対策を説明してきたが、最終回は、ネガティブ特性に関するエピソードを紹介する。この話は、ある企業で実際にあった話がベースになっている。
パワハラを気にする部長の下で悩むシステム開発課長
先日、あるIT開発会社のシステム開発課長職にある人と意見交換する機会があった。名前は池田氏(仮名・45歳男性)という。彼がしきりに言うのは、「最近は部下の指導が難しい」ということだ。
同僚や上司の部長からも「やりすぎ」「そういう時代ではない」「潰れるからやめておけ」と言われており、特に部長からは「褒めて育てろ」と強く言われているとのことだった。部長は昔は厳しく指導するタイプだったが、最近はパワーハラスメントを気にして、部下に強く言わなくなったという。
この部長は、会社の主催する外部講師の「褒めて育てる研修」を定期的に受講した影響を受け、「褒めて育てろ」が口癖になったという。「こういう状況だがどう思うか、どうすればよいか」というのが池田氏の悩みであり、筆者に聞きたかったことのようだ。