人間、自信が必要だが有り過ぎても困る。自信が無い人は自信をどう付けるべきか。自信過剰な人はどう内省すべきか。

 以上が本稿の主題である。したがってどんな職種の方々にも関係する。ただし本サイトはITproだから、例示する内容をSE(システムズエンジニア)に関わるものにした。

 「自信が必要だが有り過ぎても困る」。自明と思うが念のため説明する。

 SEはプロフェッショナルだから自信が必要である。「正直言ってこの仕事をやり遂げる自信がありません」と打ち明けるSEがもしいたら、正直な人かもしれないが仕事を頼む顧客は現れまい。

 一方で、自信が有り過ぎるSEも顧客や周囲に迷惑をかける。自信過剰なSEに共通する発言は「これでいい」である。

 ある業務のアプリケーション開発を請け負った時、自信過剰すなわち経験豊富なSEは「この業務はこうあるべきだからこれでいい」と言って仕事を進めていく。

 SEが開発を引っ張っていくのは良い。だが顧客が新たな取り組みを考えていたなら、自信過剰なSEは開発案件を誤った方向に進めてしまいかねない。

 進める方向は正しくても、力の加減を間違えることもある。ある業務のアプリケーション開発を請け負った時、自信過剰すなわち経験豊富なSEは「工程やテストはこれでいい」と言って仕事を進めていく。

 すべての案件に全力を投入していては技術者が何人いても足りないから、SEが難易度や作業量を見極めるのは良い。だが工程に思わぬ抜けがあったりテスト不足に陥ることもある。

自信無きSEが自信を付け自信過剰SEが内省するには

 自信が無い人は自信を付けないといけない。自信過剰な人は、常に自分の力を見極めた上で仕事を進めないといけない。どうしたらよいか。

 仕事に関わる自信だから仕事の場を通じて付けるしかない。神仏にすがっても良いが、それだけでは足りない。

 仕事の場であるものの、従来とは何か違った仕事に挑戦する必要がある。自信が無い人が「これならできる」という手慣れた仕事を繰り返しても、自信は付かない。自信過剰な人が「これは得意だ」という手慣れた仕事を繰り返しても、「これでいい」と言う危険が増えるばかりだ。

 「何か違った仕事」であるから通常とは違った頭を使う。自信が無い人であっても、違った頭を使うことで自分の新たな能力を発見できるかもしれない。自信過剰な人は違った頭を使うことで、自分の力量不足に気付けるかもしれない。

 何らかの挑戦をする以上、誰かに見守ってもらう。自信が無い人は相談相手がいれば安心だし、自信過剰な人は自分で気づかない欠点を指摘してもらえる。見守る人は直属の上司が望ましいが、同僚や後輩でもかまわない。

 冒頭で「例示する内容をSEに関わるものにした」と宣言したので、「仕事の場であるものの従来とは何か違った仕事に挑戦」し「通常とは違った頭を使」い上司に「見守ってもら」ったSEの例を挙げたい。