この連載では、「ダメに見せないことで評価を高める」ための仕事術を扱っている。ネガティブ特性は以下の通りである。

  1. 先を読まない、深読みしない、刹那主義
  2. 主体性がない、受け身である
  3. うっかりが多い、思慮が浅い
  4. 無責任、逃げ腰体質
  5. 本質が語れない、理解が浅い
  6. ひと言で語れない、話が冗長
  7. 抽象的、具体性がない、表面的
  8. 説得力がない、納得感が得られない
  9. 仕事が進まない、放置体質
  10. 言いたいことが不明、論点が絞れない、話が拡散
  11. 駆け引きできない、せっかち、期を待てない

 前回は「言いたいことが不明、論点が絞れない、話が拡散」というネガティブ特性の改善のためには、七つの視点で考える必要があること、その中で特に大事なのは、「目的にフォーカス」「相手にフォーカス」する視点であることを紹介した。

 視点説明
1相手にフォーカスする誰に対する説明かを強く意識する
2目的にフォーカスする何を実現するための説明かを強く意識する

 そして、具体的な文書を「相手に伝わる」ように修正する過程を、下記の文書を例に、途中まで説明した。

Web販売システムについて

システム開発部 徳田

  1. システムの機能
     お客さまが直接インターネットでアクセスして操作して、注文するシステムとなっており、商品検索、内容の表示、詳細内容や動画へのリンク、ショッピングカート機能などを持っている。機能は、トップ画面、商品検索画面、商品表示画面、ショッピングカート内画面、決済画面、完了画面で構成されているのが特徴である。

  2. 主な特徴
     「使いやすい」をコンセプトに、短い階層で目的の画面に到達するように設計されたシステムである。分かりやすさを追求するための工夫として導入した動画が多いので、レスポンスが厳しくならないよう、何回も検証して最適な性能要件を実現している。

  3. 保守の体制、方法について
     販売企画部門の担当者が要件をまとめて当方に提示する。要件は、打ち合わせで質問をしながら、整理し、最終的に文書で先方の課長の押印をもらう。これは、内部統制上の手順である。
     受け付けた文書から当方で外部設計書を作り、販売企画担当者を交えてレビューを実施する。質問などがあれば、その場で回答できるものがあれば回答し、そうでなければ、持ち帰り、その後に文書で回答する運用としている。
     保守メンバーは10人で、別途協力会社に外部委託するケースもある。手順は、外部仕様書から内部仕様書を作成し、それをレビューする。問題ない場合、それに基づいてプログラムをコーディングする。コーディングは、担当者の自己チェックの後、別の承認者が再度チェックする。完成したプログラムは単体テスト、結合テストの後、システムテストする。

  4. 課題について
     システムが複雑になっているので、変更箇所を特定するのに時間がかかり、効率が悪化している。さらに、退行も多いので、回帰テストも膨大になっており、今後、どうするのか気になっている。

 以上

注)説明をシンプルにするため、前回に掲載した文書の「4.課題について」の一部を省略しています。

 今回も引き続き、「相手に伝わる」ように修正する過程を説明する。