BYODという言葉をよく聞くようになった。BYOD、Bring Your Own Devices、すなわちスマートフォンやノートパソコンなど私物デバイスを業務システムに活用すること。インテルやKDDI、DeNAなどがすでにBYODに踏み出している。このBYODに対する関心の高まりをもたらしたものは何だろうか。大きな理由のひとつに、ネットワークがその発展とともに我々に起こし続けてきた“働き方の変化”があると筆者は考えている。

 すなわち、我々の働き方が時間と場所にとらわれなくなってきたということだ。もちろん、その時間にその場所にいなければできない仕事もたくさんある。しかし、多くの読者が携わっているであろうソフトウエア開発などの仕事の中には、どこでも、(期限を守ることができれば)いつでもできる部分がたくさんある。

 いつでも仕事に追いかけられて気が抜けないと感じる方もおられるだろうが、時間と場所に制限されないことにより在宅など生産性も向上する。インテルはモバイル機器の58%に当たる約1万7000台が個人所有で、BYODによるすき間時間の推進によって、1人1日当たり47分間の効率化を達成しているという(関連記事)。社員全員ぶんをあわせた時短効果は非常に大きなものになろう。

 言うまでもなくこのような変化を起こしたのはどこでも使えるネットワークと、持ち運びが容易なモバイル機器だ。特にスマートフォンは常に持ち歩いており、私物とは別に業務用の端末を持ち歩くのは煩雑である。筆者も2台持ち歩くことを試みて断念したことがある。1台に集約したいというニーズは強い。

 また、仕事の内容のうち「業務を問題なく遂行すること」に対する「新しい方法や新しい目的を生み出すこと」の比重が高まってきたことも背景にあるのではないかと筆者は考えている。多様な環境が、新しい発見を生む土壌になる。組織に対する個人の比重が高まり、個人がより生産性を求められてきたこともあるだろう。

 もちろん、私物のデバイスを使用することは紛失や盗難にともなう情報漏洩などのリスクを高める可能性もある。管理する側にとっては管理コスト増大につながる恐れもある。ただ、これまでのモバイル機器の企業利用の経験の蓄積により、私物利用においてもそのリスクをコントロールするためのルール作りや技術、サービス、製品が多数出てきている。

 新しいジャンルの製品であるスマートフォンやタブレットにおいても、デバイス紛失時に遠隔からロックしたりデータを消去したりできるセキュリティ管理ソフトやモバイルデバイス管理ツール、デバイスにデータをのこなさないシンクライアントやデスクトップ仮想化など、そのためサービスや製品が急速に整備されつつある。テクノロジをうまく使いこなせばそのジレンマはかなりの部分解決できるのではないかと楽観的に考えている。もちろん最初からうまくいくわけではなく、トラブルを乗り越えて使いこなせていくものかもしれないが。

 読者の皆様はBYODに何を求め、実際にどのように私物デバイスを活用しているのだろう。どのようにリスクをコントロールしているのだろうか。ITproでは、読者の皆様のBYODの実態とご意見を聞いてみたいと考えている。情報システムやネットワークを運用する立場からは「企業全体の生産性を最適化するためには、私物デバイス利用の自由よりももっと優先されるべきことがある」という意見も当然あるだろう。ユーザーの立場からは「こんなことがやりたい」「あんなことができれば生産性が上がるのに」といった感想を日頃抱いている方も多いのではないか。

 ぜひ、以下のアンケートより、ご意見を頂きたい。結果およびご意見はITproで紹介する(回答期限は2012年4月13日まで)。多くのご回答、忌憚のない生産的なご意見をお待ちしている。

期限が過ぎましたのでアンケートの回答は締め切らせていただきました。たくさんのご回答たいへんありがとうございました。