現在または直近のシステム開発プロジェクトの94.5%に深刻な問題が発生し、そのうち89.9%が同じ失敗を繰り返している――。2011年10月28日から11月18日まで、ITpro上で実施した「失敗プロジェクト徹底調査」の結果をまとめると、このような驚くべき実態が明らかになった。

 これはシステム開発に携わる当事者が、自分たちが参加したごく最近のプロジェクトの実情を答えてくれた貴重な現場の声だ。回答者の属性は、ユーザー企業のマネジャー/リーダーが19.2%、ベンダーのマネジャー/リーダーが50.6%、ユーザー企業のメンバーが15.1%、ベンダーのメンバーが15.1%である。

プロジェクトの失敗が常態化

 結果を詳しく報告しよう。この調査における「失敗」とは、スケジュール遅延やコスト超過、稼働後のシステム障害、関係者間の信頼関係の悪化など、深刻な問題を指す。調査結果を見ると、こうした問題が発生した割合は全体の94.5%に達し、問題が発生していないという回答はわずか4.1%にとどまった。

 発生した問題の種類を具体的に見ると、スケジュール遅延が全体の45.0%を占めて最も多い。次いで、コスト超過(21.7%)、稼働後のシステム障害(14.5%)、関係者間の信頼関係の悪化(10.1%)と続いた。多くの場合、予定の工数や納期をオーバーする形で、プロジェクトの失敗が表れるようだ。

 もっとも、失敗プロジェクトの割合が高いというのは以前より指摘されている話ではある。記者が深刻だと感じたのは、失敗する割合よりも、むしろ失敗を繰り返す割合である。プロジェクトの失敗が、現場で常態化しているからだ。

 現在または直近のプロジェクトで問題が発生したという回答者に、同様の問題が以前にも発生したかどうかを聞いた。すると、全体の50.8%が「ときどき発生」、39.1%が「いつも発生」と答えた。両者を合わせると、89.9%の回答者が同様の問題を繰り返している状況である。