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日経情報ストラテジー

部下は「残念な上司」を口癖で見抜く

2011/12/02
川又 英紀=日経情報ストラテジー

 「残念な人の口癖って何だろうって考えることがあるんですよね」

 書籍『残念な人の思考法』(日本経済新聞出版社)がベストセラーになった、アジルパートナーズの山崎将志氏の何気ない一言に、筆者はドキッとさせられた。2011年初夏のことである。ちょうど、日経情報ストラテジーの総力特集(2012年1月号)取材で、苦悩するミドル(中間管理職)の実情を明らかにしたいと考え始めていた矢先のことだったからである。

 山崎氏が定義する残念な人は「能力もやる気もあるのに成果を上げられないでいるビジネスパーソン」を指す。「もったいない人」と言い換えることもできる。

 さらに職場を見渡すと、残念な人は「残念な上司」と「残念な部下」に大別できるという。

「これ、やっといて」が口癖な人は要注意

 このうち、筆者は残念な上司の存在が非常に気になりだした。総力特集で明らかにしたかった、今時のミドルに欠かせない素養や能力を持たない人は、結果的に残念な上司になってしまっていると思えたからだ。

 残念な人を考察してきた山崎氏によると、残念な上司の典型は「これ、やっといて」「後はよろしく」とだけ部下に伝え、それで仕事を頼んだつもりになってしまっている人のことである。そう言われて、心当たりのある人は、ITproの読者の中にもたくさんいるのではないだろうか。

 「これ、やっといて」や「後はよろしく」というセリフは、職場で毎日のように使われる言葉で、上司の口から飛び出す頻度が特に高いものだ。ある種の口癖といっていいだろう。

 言葉自体が悪いわけではないが、「部下に頼んだ仕事には、どんな目的があって、どんな成果を期待したいのかを全く伝えていない。こういう上司が世の中にはたくさんいる」と山崎氏は指摘する。これでは上司のイメージする成果物は部下からなかなか出てこないから、「結局はやり直しになる。上司も部下も残念な人に陥るからくりはここにある」(山崎氏)。

 さらに悪いのは「いつまでに」という納期の情報を部下に伝えていない場合だ。経験が浅い部下は上司に「これ、やっといて」と言われると、他の仕事を後回しにしてでも、今頼まれた仕事から始めてしまうことが多い。

 だが納期が明確になっていない仕事の多くは「上司の思い付きの仕事」である確率が高く、仕事の優先順位は総じて低い。本来先にやるべき仕事が他にあるはずだ。職場における上司と部下の空回りは、こんなところから生まれる。

口癖チェックシートから見えた残念な傾向

 残念な上司に特徴的な口癖は他にもあるはずだと考えた筆者は、2011年10月初旬に山崎氏と1時間ディスカッションし、改めて口癖を洗い出してみることにした。そうして作り上げた「口癖で分かる残念な上司チェックシート」を2012年1月号の総力特集「残念な上司はいらない!ミドルが輝く5つの力」に掲載した。誌面では合計17の口癖を紹介している。

 当初は残念な上司に振り回されることになる部下も徐々に学習していき、上司の口癖から相手が残念な上司なのかどうかを見抜いていくようになる。そう考えると「部下を動かせない」と悩む今時のミドルの共通点には、残念な上司に特有の口癖を日々連発していることが挙げられるかもしれない。「これ、やっといて」はその最たる例というわけである。

 同じようによく聞かれる口癖に「あり得ねえ」とか「無理だよ、それ」というのが浮かび上がってきた。いかにも今風の言葉である。本人は半分冗談で言っているのかもしれないが、言われた部下にしてみれば、自分の考えを完全否定されたことになる。

 口癖の怖いところは、無意識のうちに決まったセリフがたびたび口を突いて出てしまうところだ。こういう上司は周りから「相手の考えを否定しないと気が済まない人」と思われるようになり、信頼を失う。

 当然、こういう残念な上司についていこうと思う部下は少ない。だが上司の方は、部下が動かない原因が自分にあることに気づいていない。

 やる気を失った部下を見て、「何で俺のところに相談に来ないんだ」とわめく上司もいる。これも口癖の1つだ。そう言われた部下はうつむくだけ。部下の心の中では「あなたにだけは相談したくありません」と思われているのかもしれない。

 あなたも口癖で、残念な上司に陥っていないかどうかを確認してみてはどうだろうか。

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