原稿の構想を練る時には万年筆を使って大判の紙に殴り書きをするが、清書をする段になるとパソコンのワードプロセサーを使う。推敲に便利だし、過去に書いた原稿や書きかけの原稿をいつでも読み返せる。下書きをした大判用紙は捨てずに保存しているのだが、読み直そうとしてもなかなか出てこない。

 パソコンに残っている書きかけの原稿はそう多くない。原稿を書く時には締切が設定されているから、その日まであるいは数日後れでなんとか書き上げてしまう。書きかけの原稿とは、何らかの理由で締切が設定されていない原稿を指す。

 「ITpro」という文書フォルダーの中には「2002年」「2003年」と年別のフォルダーがあり、そこにこれまでITproに書いた原稿が入っている。2002年は原稿執筆に使っているノートパソコンを使い始めた年である。

 この原稿も同じパソコンを使って書いている。バッテリーの調子がおかしく持ち歩きはできなくなってしまったが、優れたキーボードは無事なので別のパソコンに交換する気になかなかなれない。

 フォルダー「ITpro」に入っているものの年別フォルダーとは別に保存されている原稿が数本ある。これが書きかけの原稿である。今回その中の一本を取り出して完成させ公開してみたい。ファイルを見ると2003年8月に登録されている。

 それでは8年前に書きかけた原稿に、多少の加筆修整を施して公開する。倉庫の奥にあった商品のほこりを払って店頭に並べるようだが、物は傷んでいないと思っている。