2011年11月14日、米シスコシステムズがとても興味深いレポートを発表した。「30歳未満の大学生および若手社会人の3人に1人が、仕事を選択する際には給与よりも、制約の少ないソーシャルメディアへのアクセス、自由なデバイス選択、柔軟な勤務形態を重視する」と答えているという。

 レポートでは「モバイルネットワーク、デバイス選択の自由度、仕事とプライベートを一体化させたライフスタイルが、職場環境および企業文化を決定づける鍵」になっているとも報告している(発表資料調査概要)。

 やや乱暴な言い方をすると、30歳未満の大学生および若手社会人の3人に1人は「職場でも自由にFacebookやTwitterを使いたい」「私物のスマートフォンやパソコンを仕事でも使いたい、あるいは仕事用のスマートフォンやパソコンを私用で使いたい」ということだ。もちろん、こうしたことが許容されない業務があることを十分承知のうえで、あえて希望を述べた結果ではあるだろう。

世代論を語りたくはないけれど・・・

 なぜこの話を冒頭に持ってきたかというと、アンケートの回答者である若い世代は、ソーシャルネットワークの利用が当たり前であり、いつでもそれらを使える環境を望んでいるということを示しているからだ。

 もう少し前述のレポートを引用すると、「世界の大学生の10人に7人(71%)という大多数が、日常生活での公私におけるコミュニケーションの不可分性を理由に、企業から支給されるデバイスを公私のどちらにも使用することを許可されるべき」と考えているという。一般に企業の情報システムを管理・運用する側からすると、「何を言ってるんだ、いまどきの若者は・・・」ということになりそうな回答である。

 ただ、アンケートの回答者は、物心ついたころからパソコンやケータイを使っていた”デジタルネイティブ”、“モバイルネイティブ”であり、当たり前のように学生時代からFacebookやTwitterでコミュニケーションしている。こうした考えが出てくるのは自然ではある(関連記事:スマートフォンとソーシャルは両輪)。

 以前、スマートフォン関連で取材させていただいたメディア学者で慶應義塾大学 政策・メディア研究科のジョン・キム准教授は次のようなことを述べていた。「40代、50代、そして30代中盤もそうだと思うが、この世代は自分の情報を日常的に発信したことがない世代。10代、20代は、自分の情報を発信したり、相手の情報もそれを通じて入手したりするのが当たり前の世代。逆にそうしないとコミュニティーに参加できなくなり、日常的な付き合いができなくなる。発信することがデフォルトになる」と指摘している。こうした環境で育っているのが、若い世代なのだ。

 もちろん、40代や50代でもまったく違和感なくSNS(以下ソーシャルネットワーク)を使っている人はいるだろうから、単純に世代論だけでは片づけられないが、“気持ち悪さ”の背景の一つに、世代による違いは実際にあると思う。ただ、ここで世代論を語るつもりはない。以下ではソーシャルネットワークを使うにあたり、「何か引っかかる」という方を対象にもう少し突っ込んでソーシャルの“気持ち悪さ”を考えていきたい。