記事を書く以上、多くの方に読んでほしいので題名には工夫を凝らす。とはいえ「一生使える共通言語とは大げさすぎる」と思われた読者がいるかもしれない。本題に入る前に題名に込めた意味を書いておく。

 「一生使える」とは「長持ちする」を強調した表現である。長持ちするからSEを一生続けるのであればその言語は一生使える。

 「SE」の定義は色々あろうが、ここでは「顧客の要望をくみ取って情報システムを設計し開発できる人」とする。

 「共通言語」は、SE同士はもちろん顧客とSEの間でも通用する。ローカルではなく世界各国で使われている。

 以上の意味を頭に入れて「一生使えるSEの共通言語」とは何かを考えていただきたい。

長持ちしSEと顧客が使えるもの

 本稿で用意した答えは「データモデル」である。データモデルは記述された成果物だからデータモデリング手法や表記方法が言語かもしれない。

 実は質問の前にデータモデルあるいはデータモデリングという答えがすでにあった。だが「データモデルは重要である」という題名を付けても読んでもらえないだろう。しばし思案し「一生使えるSEの共通言語」という題名を付けた。

 データモデルが一生使えるSEの共通言語かどうか考えてみよう。

 データモデルは「長持ちする」。これは間違いない。記者になった26年前、データに着目して情報システムを設計・開発したり維持・管理したりするやり方がすでにあった。

 当時はインフォメーションエンジニアリングあるいはインフォメーションリソースマネジメント(IRM)と言っていた気がする。その後DOA(データ中心アプローチ)が注目された時期もあった。

 「業務のロジックやプロセスが変わってもデータの構造はほとんど変わらない」。これは情報システムの世界における共通認識であろう。

 データモデルは「顧客の要望をくみ取って情報システムを設計し開発できる人」に有用である。これは言うまでもない。

 データモデル、中でも概念データモデルは企業や組織の全体像を示すものであり、それを見ながらSE同士がコミュニケーションをとれる。概念データモデルを作るところから参画していれば顧客の利用部門であっても理解でき、部門間あるいはSEとのやり取りに生かせる。そして「ローカルではなく世界各国で使われている」。