“電子書籍先進国”の米国でヒットしている米Amazon.com社の電子書籍リーダー「Kindle」。日本での発売も噂されているが、その実力やいかに――。デジタルガジェット好きを自認し、Android端末を使い倒す連載「どろいど探検隊」を執筆している身としては、実機をチェックしないわけにはいかない。そこで2011年9月末に発売された最新モデルを入手。筆者とともにどろいど探検隊の執筆を担当し、タブレット端末による電子読書の検証記事を執筆している斉藤記者と、最新版Kindleでどのような読書体験を得られるかについて語り合った。

写真1●Kindle, Wi-Fi, 6" E Ink Display
[画像のクリックで拡大表示]

筆者(以下、T) 今日は、ちょっと見せびらかしたい製品を持ってきたよ。(テーブルの下からさっと取り出して)これが一番新しいKindleだ。ローエンドモデルの広告表示付きバージョンを選んだので、価格は79ドルだった。日本円に換算すると6000円ちょっと。国内の電子書籍リーダーはだいたい1万円台後半から2万円台が中心だよね。その1/3の値段で買えるなんて驚きだ。最初は正直、「こんなに安い端末で快適に読書できるのかな」と思ったね。

斉藤(以下、S) ああ、それは「Kindle, Wi-Fi, 6" E Ink Display」というモデルですよね。もちろん知ってますよ、私も同じ機種を持っているので。広告表示が付いていないバージョンなら、米Amazon.comが直接日本に発送してくれますからね。

T なんだって、もう手に入れていたのか…。少しだけ自慢できると思ったのに。まあそれなら話が早い。私たちは日頃から様々なスマートフォンやタブレットを調査しているけれど、今日はこの格安のKindleをレビューしようよ。電子書籍が普及している米国で、ユーザーが普段どのように読書を楽しんでいるのかを体感してみたいんだ。それに今後は日本でKindle用書籍が販売される可能性もあるしね(別掲記事を参照)。

S 分かりました、そういうことなら話に乗りましょう。私も最近Kindleを活用するうちに気が付いたこともありますしね。とりあえず外観を見てみましょうか。まずKindle最大の特徴である電子インクを採用したディスプレイですが、サイズは従来機種と同じ6インチを採用しています。それでも本体の重量は従来の約247gから約170gと、ずいぶん軽くなりました。

T うん、これだけ軽いとスマホやタブレットのように、中身がみっちり詰まっているという感じが全くしないね。それに本体の手触りも高級感はほとんどない。電子機器というよりもむしろ、文房具を気軽に扱っているような感覚がするな。これはこれで悪くないと思う。ただしボタンをいくつか押した時の手応えはやはり“価格相応”だなあ。

S コストダウンの影響なのか、従来機種にあった機能の一部も削除されていますしね。例えば搭載メモリーは4Gバイトから2Gバイトに減っているし、テキストを音声で読み上げる機能も割愛されてしまいました。

 でもKindleのウリであるディスプレイは以前より良くなっています。相変わらずページを切り替える際には白黒に反転しますが、前機種より切り替え時間が短くなりましたね。書籍であれば、待たされる感覚がほとんどありません。1ページ当たりのデータ量が大きい電子マンガの場合は個人差があるかもしれませんが、結構すいすい読めますよ。

T なるほど、書籍だけでなくマンガを読むのにも向いていそうだ。そういえばKindleの仕様も融通が利くというか、ユーザーが自分で工夫する余地がある。対応している電子書籍フォーマットは比較的多いし、PDFもそのまま閲覧できる。PCとUSB接続すれば一般的なマスストレージとして認識されるし、documentsフォルダーにデータを放り込むだけ。「Kindleは書籍用」という先入観は捨てたほうがいいかもしれない。

S それだけじゃありません。Kindleが6インチのディスプレイを装備していることも、大事なポイントなんです。