この連載では、「ダメに見せないことで評価を高める」ための仕事術を扱っている。前回(「具体的に考える」ための五つの原則)は、ネガティブ特性の七つめである「抽象的、具体的でない、無責任」について説明した。ネガティブ特性は以下の通りである。
- 先を読まない、深読みしない、刹那主義
- 主体性がない、受け身である
- うっかりが多い、思慮が浅い
- 無責任、逃げ腰体質
- 本質が語れない、理解が浅い
- ひと言で語れない、話が冗長
- 抽象的、具体性がない、表面的
- 説得力がない、納得感が得られない
- 仕事が進まない、放置体質
- 言いたいことが不明、論点が絞れない、話が拡散
- 駆け引きできない、せっかち、期を待てない
今回から、八つめの「説得力がない、納得感が得られない」について説明する。
自分の考えや行動を理解してもらい、承知させる
大辞林によれば、説得力とは「相手を納得させるだけの力。その力のある話し方や論理の展開のしかた」を指す。ここでいう納得は「他人の考えや行動などを十分に理解して得心すること」(大辞林)、得心は「よくわかって承知すること」(同)を意味する。
つまり、説得力は以下のような意味になる。
自分の考えや行動を相手に十分理解してもらい、承知させるための力。そのための話し方や、論理の展開のしかた
これだけを見ると、実践するのはそれほど難しくないと思われるかもしれない。だが、ここには大きな落とし穴がある。試しに、以下の質問に答えてほしい。
- 自分の考えや行動を相手に十分理解してもらい、承知させることができるか?
- そのための話し方を知っているか?
- そのための論理の展開のしかたを知っているか?
「できるに決まっている。何をいまさら、そんな質問をするのか」と、思う読者もいるに違いない。だが、そういう人こそ、「説得力がない、納得感が得られない」というネガティブ特性を持っている可能性が高いと、筆者は考えている。