SEは販売活動やシステム開発などで営業担当者と一緒に仕事をすることが多い。その際、お互いの仕事のやり方や意見の違いなどで喧嘩になることがある。

 しかし、立場の弱いSEは営業にはなかなか勝てない。そして落胆したり不満がたまったりする。前回はそんな時のSEの闘い方のポイントについて述べた。それは「負ける喧嘩をしては意味がない」「理不尽な営業とは誇りを持って闘え」「顧客をつかんで闘え」の3点である。今回は4点目から説明する。

 念のために述べるが、筆者は決してSEに「営業との喧嘩」を勧めているわけではない。第一線のSEは営業と共に一つのゴールを目指して励まし合い、助け合って仕事をするのが基本である。そのことは前々回の『“営業との関係というもの”の理解がSEを変える』で述べた。

 とはいえ、営業にはいろんな人がいる。SEを子分扱いする営業、SEの気持ちや事情などを全く考えない営業、ITをほとんど勉強しない営業などがいる。そんな営業と仕事で嫌な思いをしながら努力をしたにもかかわらず、協業がうまく行かないときには、最後の手段として営業と闘わざるを得ない。前回と今回は、そのときのSEの闘い方についての話だ。その点は誤解なきよう願いたい。営業との関係で悩んでいるSEの方々に何かを感じてもらえれば幸いである。また、SEと日頃もめることが多い営業の方々には、SEとの協業のあり方を自己点検するきっかけにしてもらえればと思う。

【その4】正論で闘え

 SEが営業と闘うには「正論」を言うことだ。正論とは、誰が聞いても明らかに「なるほど。それは正しい」と思えることである。決して独りよがりの考えではいけない。

 例えば、「営業がSEの仕事について顧客と決めるのはおかしい」とか「SEは営業が本来やるべきことを代わりにやる職種ではない。代わりにやるのは営業の上司だ」「SEは営業の子分ではない」などは正論である。「顧客に迷惑をかけてはならない」というのも然りである。

 すると営業は「それはそうだ」と心で思うだろう。SEはそこを起点に、「だから、こうしたらどうか」などと自分の意見を述べれば、営業との関係を改善しやすい。

 したがって、SEは営業と意見が違う時や営業の要請を断わる時に、「自分はこう考えるが、それは周りの人が『なるほどそれは正しい』と思うだろうか」と自問自答・確認してから発言したほうがよい。注意すべきは、「自分は忙しいからそれはできない」とか「それは営業の仕事だ」などと主観的な話をしないことだ。それは本人にとっては正しいことかもしれないが、相手の営業がそう思うとは限らないからである。下手をすると相手の営業に「SEはビジネスのことは考えていない、冗談じゃない」などと思われ、結局はやらされることになりかねない。SEはその点を心した方がよい。