みなさんは自宅でインターネットテレビを使っているだろうか。今のテレビはインターネットに接続できてブラウザーを搭載するものばかりだが、「実際にインターネットにつないで利用している」のは少数派のようだ。
「わざわざテレビでインターネットを見る必要があるの?」と思われる方も多いと思う。だが、実際に使ってみると結構楽しめる。
例えばYouTube。テレビの大画面で見ると、それだけでも楽しさがアップする。筆者の息子はYouTubeを見るのが大好きなのだが、何を使って見ているかというと、「パソコン→iPad→iPadまたはテレビ」へと移り変わっている。パソコンの前に座って見るより、もっとリラックスした感じで視聴できるし、家族で一緒に楽しめるところもいいようだ。テレビでインターネットを楽しむ機会がもっと増えていくと実感できた。
そんな体験を通して気が付いたのは、テレビのユーザーインタフェースの進化だ。
標準リモコンだと日本語入力がちょっと面倒…
インターネットテレビを使い始めてすぐ、YouTubeや検索エンジンに検索キーワードを入力するときの煩わしさが気になった。
日本語を入力するとき、筆者のテレビの画面にはスマートフォン風のソフトウエアキーボードが表示される。一見すると見慣れたユーザーインタフェースなのだが、使い勝手はだいぶ違う。リモコンの矢印キーと選択ボタンだけで文字を入力しなければならないからだ。短いキーワードであったとしても少し面倒くさい。携帯電話(スマートフォンではない)のボタンでメールを打つよりも時間がかかる。
しかし、リモコンの技術はしっかり進歩していた。テレビのカタログをよく読むと、スマートフォンでテレビを操作するためのリモコンアプリが紹介されている。スマホのソフトウエアキーボードで日本語を入力できるほか、音声入力にも対応しているという。
さっそくインストールして使ってみると、スマホでメールを打つのと同じ快適さがあって便利だった(端末の都合で音声入力は試せなかった)。使い勝手はこんな感じだ。まずYouTubeや検索エンジンの画面で、検索キーワードの入力欄を選択する。ここまではスマホアプリの矢印キーを使う。入力欄を選択すると、手元のスマホに自動でソフトウエアキーボードが表示される。標準のリモコンで操作するときのソフトウエアキーボードと見た目は似ているが、操作方法はスマホそのものだ。すべて手元で操作して「完了」ボタンを押せばテレビにデータが転送される。標準のリモコンより3倍は楽に打てる。
スマホアプリのリモコンの機能を複数の画面に分割し、フリップ操作で切り替えられるので、一つひとつの画面がスッキリしていて分かりやすいのも気に入った。このくらい使いやすければ、「文字入力が面倒だからインターネットテレビは使いたくない…」というような抵抗感はないだろう。
筆者が買ったテレビはソニー製なので、「Media Remote」という純正のリモコンアプリを使っている。この手のリモコンアプリが、今年に入って家電メーカー各社から続々と登場しているようだ。
マウスが使えるといいかも?
リモコンアプリを使っていて、ふと2年半ほど前に書いた記事(テレビにかぶりついてリモコンを操作する私)を思い出した。HDDビデオレコーダーに録画予約するとき、リモコン操作だと録画の「タイトル」を日本語入力するのに一苦労したので、もっとパソコンっぽいユーザーインタフェースを取り入れたらどうか、などと思いをめぐらせた記事だった。
スマホのリモコンアプリを使った後でこの記事を読み直すと、「手元で文字を打ち込むという、全然違うアプローチの解決策があったのか」と恥ずかしくなった。当時はアップルのApp Storeのオープン(2008年7月)から間もないころで、スマホとスマホアプリの可能性を十分に理解できていなかった。
ただし、スマホ用リモコンアプリ(少なくともMedia Remote)でも、まだ使いづらいと感じるところはある。インターネットテレビのブラウザーでWebコンテンツを見るとき、たくさんあるボタンやリンクの中から一つを選択するのに、矢印キーだけでは苦労するのだ。横向きの矢印キーを押したとき、次にどのボタン/リンクを選択するのか、予測できないケースも多い。インターネットテレビに快適なWeb閲覧を求めるのは「期待しすぎ」な気もするが、大画面のテレビでのんびりとWebコンテンツを見るのもきっと楽しいと思っている。
そこで考えたのは、(以前の記事の蒸し返しになるのだが)スマホアプリに「マウス」の機能を組み込んでみてはどうか、ということ。調べてみると、スマホの画面をノートパソコン用のタッチパッドに見立て、パソコンのマウスを操作するアプリは既にある。この機能をリモコンアプリとインターネットテレビに組み込めば、ブラウザーの操作はもっと楽になるはずだ。
冒頭でも述べたように、家庭でのインターネットの楽しみ方は、パソコンだけでなく、タブレット、テレビへと多様化が進んでいくと感じている。それに合わせて、テレビがもっと使いやすくなったらいいと思う。そこにスマホ(あるいはタブレット)が果たす役割はきっと大きい。