米国の雑誌「Playboy」がHTML5で開発したアプリ「iPlayboy」をリリースしたのが2011年5月。翌月には英国の新聞Financial TimesのHTML5アプリ「FT Web App」がリリースされて話題を呼んだ。7月には、日本経済新聞社が「日本経済新聞SP」をベータ版としてリリースしている。

 同じころ、HTML5アプリの企画をITproでも進めていた。ITproでは毎年、ITpro EXPO展示会にあわせて「ITpro Magazine」という雑誌を制作している。今年はそれを電子雑誌としてリリースすることが決まっていた。電子雑誌の作り方はいろいろあるが、今回はHTML5アプリにすることになったのだ。開発期間は約2カ月。そして10月3日、HTML5アプリ「ITpro eMagazine 2011年秋号」のリリースにこぎ着けた。うたい文句は“スマホで読む電子雑誌”である。

 「HTML5アプリ」とは聞き慣れない用語だが、次世代のWeb標準技術である「HTML5」や「CSS3」、そして「Javascript」などを駆使して開発したWebサイトのことを指す。Webブラウザーで閲覧するWebサイトではあるが、タグの記述によってオフラインで操作できるようにしたり、アニメーションを再生したりするなど、クライアントアプリケーションに匹敵するユーザーインタフェースを構築できることから、これからのアプリケーションの開発・実行基盤として注目されている。今のところ、スマートフォン向けのWebサイトから導入が始まりつつあるようである。この記事もスマホでの利用を前提に話を進める。

 ITpro eMagazine 2011年秋号へのリンクはこちら。機能やコンテンツの詳細はこちらの記事を参照してほしい。ここでは、HTMLアプリを開発するに当たって直面した課題を説明する。HTML5アプリに興味がある人たちには役に立つ情報が多くあると思われるので、この経験をシェアしたい。

 なおITpro eMagazineは、ITpro EXPO 2011展示会に事前登録(無料)した方のみが閲覧できる。後から見たいと思っても、EXPO展示会(10月12日~14日)が終わってしまうと事前登録もできなくなってしまうので、今のうちに登録しておいていただけるとありがたい(事前登録はこちら)。

 認証を必要とする点は申し訳ないが、一方で課金や認証を自社でコントロールできる点も、HTML5アプリの良さである。例えばApp Storeに登録する必要のあるiPhoneアプリの場合、課金や認証の作り方によってはAppleの審査をパスしない可能性がある。それに対して、HTML5アプリはこのような意味での制約を受けない。このようにビジネスモデルを自由に考えられ点が、エンタープライズ分野のアプリとしては特に魅力的である。