先日四十ウン歳の誕生日を迎えた。夫が「誕生日のプレゼントにiPadを買ってあげようか」と言い出した。どういう風の吹き回し?とも思ったが、頂けるならうれしい。iPadユーザーである友人に話したところ、「ふうん。で、iPadで何するの?」と聞かれた。「使い道考えてないと、そのうち使わなくなっちゃうよ」とのこと。そこで考えてみた。iPadがあれば自分は何に使うのか。

 会社からiPadを支給されている夫は、家でもいつも手元において、何かしら調べごとをしている(ように見える)。それに比べると自分はさほど家でインターネットを使うわけではない。唯一使うのは料理で、ガラケーで見る「クックパッド」には頼りっぱなし。「iPadになれば画面も大きいし、見やすそう!」とも思ったが、猫の額のような我が家のキッチンにはiPadを置けるスペースがない。

 出版社に勤める身としては、電子書籍にもトライしてみるべきなのかもしれない。とはいえ主な読書スペースであるベッドでは、あまり使いやすそうではない。ライフスタイルから改めるべきか。コミックを際限なくダウンロードしてしまう予感もする。

 「家計簿」にはパソコンを使っている。仕事も。

 「ゲーム」は受験生を抱える我が家では封印中。

 自分の乏しいイメージだけでは判断できないと思い、別の友人に聞いてみたところ、「PTAの仕事に使っている」と言う。小学校のPTA役員である彼女は、大量の書類をPDF化してミーティングで使うのだそうだ。「ファイリングして持ち運ぶより軽くて、必要な書類を探しやすい。他のメンバーとも一緒に見やすい」との説明には納得したが、「私はPTA役員ではないし…」などと考えていると、「でもさ、あまり深く考えないで取りあえず使ってみたらいいよ。いろんなアプリを使っているうちに、だんだん生活が変わってくるよ」と彼女は言葉をつないだ。

 前置きが長くなってしまったが、ここからが本題だ。日経情報ストラテジー11月号(9月29日発売)の特集記事「スマホ&タブレット端末で組織力上げよ」で、スマートフォンやタブレット端末を業務で活用する18社に取材した。店舗や製造現場、外回りの営業など利用の場は多岐にわたる。一方で、スマホやタブレットを使って「何をしたいのか」が明確になっている事例と、「取りあえず導入して社員に使わせてみる」というスタンスを取る事例に分かれたのも興味深かった。