このところ、久しぶりにネットワーク技術の話でワクワクした気持ちになっている。新技術が次々に実用化されようとしているからだ。具体的には、EVB、VEB、VEPA、SDN、OpenFlow、OpenStack/NetStackといったもの。ベンダー名、あるいはベンダー固有の技術や製品の名前も含めると、Big Switch Networks、CloudSwitch(米ベライゾンが買収)、Nicira Networks、ミドクラ/Midostack、CloudStack(米シトリックス・システムズ)・・・とキリがない。

 そしてこれに、米シスコシステムズ、米ジュニパーネットワークス、米ブロケード コミュニケーションズ システムズ、米IBM(旧BLADE Network Technologies)、米ヴイエムウェアといった大手プレーヤーが加わってくる(実は部分的に、米グーグルや米フェイスブックといった名前も出てくる)。さて、皆さんは、これがどんな動きか分かるだろうか。冒頭のキーワードについては、どれをご存じだろうか。

 キーワードに関して言うと、比較的最近出てきた単語もあれば、ずっと昔から使われている単語もある。ただ、いずれもサーバー仮想化と仮想化環境を支えるネットワークに関連した単語で、最近、徐々に目にすることが増えてきた。

 サーバー仮想化とネットワークと聞いても、まだ何の話かがピンとくる方は必ずしも多くないのではないかと思う。それでも、これらは今後のクラウドや企業システムを考えるうえで、とても重要になるので、ぜひ、覚えておいていただきたい。「自分はサーバー担当であって、ネットワーク担当ではない」と思う方がいるかもしれないが、それでも、サーバー仮想化やクラウドに興味を持っているのなら、押さえておくべきテーマである。

得体が知れないから面白い

 これらの何が面白いのか。実は困ったことに、これを表現するのがとても難しい。強いて言えば、新しいプレーヤーが続々と出てきていること、新たな仕組み作りに向けて新技術の開発が進んでいること、動きが急であること、といったところだろうか。そして、こうして書いていて気づくのが、ベンダーや技術の「得体が知れないこと」が一番興味をそそるのではないかということだ。

 冒頭のキーワードは、大きく3グループに分けられる。(1)EVB、VEB、VEPA、(2)OpenFlow、(3)OpenStack/NetStack、Midostack/Midonetである。(1)はハイパーバイザーに内蔵されている仮想スイッチの機能をサーバーから独立させるための技術、(2)のOpenFlowはスイッチの経路制御など(コントロールプレーン)とデータ転送処理(データプレーン)を分離させる技術、そして(3)は分散している仮想サーバー群(クラウド)を結びつけ、制御するための技術や仕組みである。

 OpenFlowについては、徐々に認知度が高まってきているだろう。2011年の春にNECが世界で初めて製品に実装した。OpenFlow自体は既に何年も前から話題にはなっていたが、実装製品が出てきたためか、にわかに活気付いてきた。10月17日には、米国スタンフォード大学で、初めてのOpenFlowカンファレンス(Open Networking Summit:ONS)も開催されるが、8月いっぱいで参加登録を締め切ってしまうほど大きな反響があった。

 そして、このONSでも使われているキーワードに、前の段落で唯一言及しなかったSDN(Software Defined Network)がある。(2)と(3)の両方を組み合わせて実現される。今、ICT業界でとても盛り上がってきているテーマであり、「得体が知れない」のもココだ(とりわけ3番目だが)。