NTT東西のフレッツ 光ネクスト(NTT NGN)を介した2種類のIPv6インターネット接続サービスが登場した。6月1日に始まった「インターネット(IPv6 PPPoE)接続」と、7月21日に始まった「インターネット(IPv6 IPoE)接続」である。5月26日のサービス開始発表まで、前者は「トンネル方式」、後者は「ネイティブ方式」と呼ばれていた。これらの名称で覚えた人もいるだろう。

 この2方式は、2008年頃からNTT東西やJAIPA(日本インターネットプロバイダー協会)など、通信業界内で議論と検討を重ねた上で決まったものだ。議論の経緯は関連記事「大詰め迎えたNGNのIPv6接続問題」に譲るとして、実際に2方式が出そろったいま、気になるのは利用するためにどのような準備が必要になるのか、どのくらい家庭やオフィスのネットワークを変える必要があるのか、ということだろう。そこで編集部のネットワークに、2方式のIPv6インターネット接続サービスを導入してみた。

新しい「アダプタ」という機器は何をするのか

 先に試したのはIPv6 PPPoE接続。編集部にはフレッツ 光ネクストのファミリータイプが導入済みで、プロバイダー(ISP)経由でIPv4インターネットに接続できる。現時点で、IPv4インターネット接続を廃止してIPv6インターネット接続に一本化することはまずないだろう。IPv4でしかアクセスできないサイトやサービスが多数派であるためだ。そのため今回は、IPv4接続に加えてIPv6接続も利用できるデュアルスタックで使うことにした。

 IPv6 PPPoE接続には、「IPv6トンネル対応アダプタ」(以下、アダプタ)という機器が必要になる。これをネットワーク上のどこに置くかが考えどころだった。IPv6のPPPoE接続は、IPv4のPPPoE接続とは別である。これを踏まえたうえで、IPv4とIPv6の二つのPPPoE接続を両立させる構成にしなくてはならない。

 最初編集部では、IPv4のPPPoE接続をしているブロードバンドルーターの配下にアダプタをつなぐ構成を考えた。だが設置作業を開始して早々に、この構成ではIPv6のPPPoE接続は無理だろうと判断した。編集部のブロードバンドルーターには、ほかの機器からのPPPoE接続をブリッジする機能がなかったのである。一方で、IPv6通信をブリッジする機能は搭載していた。アダプタは、IPv4通信とほかの機器からのPPPoE接続はブリッジすることが可能だ。そこで、ブロードバンドルーターとアダプタの上下を入れ替えた。

 結果的に入れ替えたあとの構成が編集部のネットワークには適していたのだが、実は構成を変えたあと数時間、接続用のユーザーIDとパスワードの入力を間違い続けてIPv6インターネットに接続できなかったというオチが付いた。"まさか"のトラブルは、忘れたころにやってくる。

 アダプタには、6通りの接続形態があり得る。この点は、ITproの寄稿連載「トンネル方式入門」で解説しているので参考にしてほしい。