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日経コンピュータ

コマツが実現したこと、トヨタが目指すこと

2011/06/27
木村 岳史=日経コンピュータ

 トヨタ自動車がIT産業に急接近している。この動きをどう捉えるかによって、日本のIT産業やIT技術者の命運が決まるだろう。企業のIT投資の構造的変化を象徴的に示す事例だからだ。そして、その本質に迫るには、ITを活用してライバルを寄せ付けない高収益企業となった建設機械大手コマツの先行事例を見ていけばよい。

KOMTRAXがビジネスを変革する仕組みに

 まずはコマツの話から。コマツの建機には「KOMTRAX(コムトラックス)」と呼ぶITの仕組みが組み込まれている。このKOMTRAXは建機の稼働状況を遠隔監視するもので、もともとは盗難防止のために作ったシステムだった。だが、ひとたび運用を始めると、いろいろなアイデアが生まれ、コマツのビジネスを変革する仕組みへと発展していった。

 例えば、建機の稼働状況が分かることで部品の交換時期が把握でき、純正部品への交換をタイミングよく提案できる。燃料の使用量も分かるので、燃費の悪い顧客に対して効率的な運転方法をコンサルティングできる。つまり、単に建機というモノだけではなく、付加価値の高いサービスも提供できるようになり、顧客満足度の向上と収益の極大化を同時に実現できるようになったわけだ。

 さらに中国でのビジネスで、KOMTRAXは大きな役割を果たす。中国の顧客のほとんどは個人事業者で、しかも割賦販売が主流。普通なら、信用力の低い事業者に売るのは与信管理上難しいが、建機の稼動状況をつかめるコマツは売ることができる。仕事があって建機を動かしているのに支払わない顧客には、エンジンを止めることで支払いを促し、仕事がない顧客には建機の差し押さえで対応できるからだ。

 以前、コマツの野路國夫社長にインタビューした際、野路社長は「仕事の中身を大きく変えることができるKOMTRAXはコマツのIT戦略の要だ」と話していた。社長就任前にCIOを務めERP(基幹業務システム)導入プロジェクトを指揮した野路社長だが、「ERPはもう刷新しない。刷新しても儲からないからね」とも付け加えた。

>>トヨタがMSやセールスフォースと組む理由
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