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記者の眼

x86の全盛期は終わった

原田 英生=日経ソフトウエア 2011/06/28 日経ソフトウエア

 記者が子供の頃の1970年代は、i8080、Z80、MC6800などがマイコン用8ビットCPU(Central Processing Unit)として全盛だった。それに続いたのが16ビットCPUで、米Intelのi8086がパソコン分野の勝者となった。それがx86アーキテクチャーの始まりである。x86アーキテクチャーは32ビットになり、64ビット(これは「x64」とも呼ぶ)になり、今やWindowsパソコンもMacも企業のサーバーもx86だ。でも、x86の全盛期は終わったのではないだろうか。

 x86の強力なライバルが二つ浮上してきた。一つは英ARMのARMアーキテクチャーだ。消費電力が少ない割に高性能なARMは携帯機器に多く採用され、「Microsoft、次期版WindowsでARMアーキテクチャーをサポートへ」といった動きも報じられている。米Microsoftは以前、WindowsでAlpha、MIPS、PowerPCをサポートしたことがあったから、浮気はこれが初めてではない。前回はIntelはとにかくがんばって製品を改良し価格を下げてAlpha、MIPS、PowerPCへの移行を食い止めた。ARMとの競争においてIntelはもう一度がんばれるだろうか?

スパコンで存在感増すNVIDIAのGPU

図1●スーパーコンピュータの性能ランキングサイト「TOP500」
[画像のクリックで拡大表示]
図2●GPGPUを主目的にしたNVIDIAの「Tesla C2070」
図2●GPGPUを主目的にしたNVIDIAの「Tesla C2070」
図3●NVIDIAのGeForce GTX 570を搭載した台湾ASUSTeK Computerのグラフィックスボード「ENGTX570/2DI/1280MD5」
図3●NVIDIAのGeForce GTX 570を搭載した台湾ASUSTeK Computerのグラフィックスボード「ENGTX570/2DI/1280MD5」

 x86のもう一つの敵は米NVIDIAのGPU(Graphics Processing Unit)だ。GPUは元来、パソコンやワークステーションの画面の描画処理を担うプロセッサだった。画面の画素数や色数が増大してより多くの処理性能が求められ、3D(3次元)グラフィックスの描画処理を担うようになってさらに多くの処理性能が求められ、GPUは20年以上の年月をかけて性能を上げてきた。

 もはやGPUは「グラフィックス処理のためのプロセッサ」とは言えない。図1はスーパーコンピュータの性能ランキングサイト「TOP500」だが、2011年6月のトップ10システムを見ると、2位、4位、5位のシステムは図2のようなNVIDIAのGPUを使っている。3位、6位、8位にはスーパーコンピュータの大手企業である米Crayの名前が見えるが、そのCrayも2011年5月にNVIDIAのGPUを使った新機種「Cray XK6」を発表した。NVIDIAのGPUは、スーパーコンピューティングの世界で、今一番ホットなプロセッサである。

 そう言われてもGPUが自分に関係があると考えられない人も多いだろう。ではGPUを、電器店で買ってきて自分のパソコンで使えるとしたらどうだろうか? 図2の「Tesla」は実勢価格が25万円程度するのでハードルが高いが、図3のようなGeForce GTX 570のグラフィックスボードであれば、PCパーツショップで3万5000円くらいで売っている。それでもやっぱり、x86アーキテクチャーのCPUに比べてめっぽう速いのである。

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