○2:55 PM 宮城県沿岸に大津波警報 高台に避難
○3:02 PM 大津波警報発令 高台へ避難
○3:03 PM 大津波注意報予想6m すぐに高台へ避難
   ・・・・(中略)・・・・
○3:38 PM 津波は八日町まで来ています すぐに避難
○3:39 PM 市街地まで津波到達 すぐに避難
   ・・・・(中略)・・・・
○4:06 PM 余震多発しています 大津波警報  避難  避難
      気仙沼市街地まで浸水  避難
   ・・・・(中略)・・・・
○4:09 PM 市街地浸水 市立病院付近まで浸水 すぐに避難
   ・・・・(中略)・・・・
○4:12 PM 市街地浸水 高台へ避難  余震頻発 津波は何度もきます
      絶対に戻らないこと
・・・・・・・

 東日本大震災の大津波で市街地が甚大な被害を受けた宮城県気仙沼市。同市の危機管理課は、地震発生直後からミニブログのTwitter(ツイッター)を用いて、住民に避難を呼びかけ続けた。冒頭に掲げた当日のタイムライン(抜粋)からは、緊迫した現場の様子が伝わってくる。

 同課は3月11日の地震発生から22時37分までの約8時間の間に、約60のツイートを発信した。途中から携帯電話による投稿に切り替えながら、津波が繰り返しやってくることや火災発生場所を伝え続けた。14日の再開後は、余震・津波情報に加えて、避難所や災害ボランティアセンターなどの情報も提供しており、2万8000人強のフォロワーを獲得している。

公式サイトに代わってソーシャルメディアが活躍

 経済産業省によると、国や地方公共団体などの公共機関のTwitterアカウント数は、震災前の3月が121だったのに対し、4月4日時点では148にまで増えた。2月までの増加ペースは月間数件だったので、急伸と言っていい。背景には、公共機関からの情報発信・提供が従来の手段だけでは十分でないことが明らかになったことがある。

 例えば、気仙沼市の公式Webサイトが復旧したのは、震災発生から10日後の3月21日だった。本庁舎が津波に襲われた上に、地区全体で停電が続いたためである。しかし3月12日・13日を除けば、Twitterで避難所情報などを発信し続けることができた。岩手県の公式Webサイトも、地震による停電でサーバーが停止したため、広聴広報課はTwitterとSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の「Facebook」を用いて情報提供を続けた。同県のWebサイトは翌12日には復旧したが、TwitterとFacebookによる情報発信は現在も継続している。

 ミニブログのTwitterや、SNSであるFacebookは、ユーザー間を双方向に結び付ける「ソーシャルメディア」の典型である。ただ、今回の震災で公共機関の注目を集めたのは、そうした双方向性ではなく、災害への耐性である。県や市町村の庁舎に設置された公式サイト用のサーバーは、地震や津波、それに続く停電により機能しなくなるケースが相次いだ。しかし、被災地外のデータセンターにサーバーがあるソーシャルメディアのサービスは、停止することはなく、携帯電話のパケット通信サービスさえ利用できれば、どこからでも情報の更新・閲覧が可能だった。

 気仙沼市危機管理課や岩手県、青森県、同県八戸市など、震災発生前から情報発信にTwitterを利用していた自治体は、地震発生直後に東北地方のほぼ全域が停電する中にあって、TwitterやFacebookを通して住民への避難情報や避難所の情報を発信し続けることができた。その後も、避難所での毛布の配布時間の案内や、FM放送による臨時災害放送局の開局のお知らせなど、住民支援のための情報を提供している。

 このほか、気仙沼市と同様に津波で本庁舎が大きく損壊した岩手県陸前高田市は、同県の一関市がはてなのブログサービス「はてなダイアリー」に開設したサイト上で、3月27日から公式情報の発信を再開した。また、東京電力福島第1原子力発電所の事故で避難指示区域に入ったことで住民とともに役場機能を会津若松市に移転した福島県大熊町は、3月24日から最新情報についてはpaperboy&co.の無料ブログサービス「JUGEM」上で提供している。

 こうした動きを受け、内閣官房(情報セキュリティセンター、情報通信技術担当室)、総務省、経産省は共同で、国や自治体などの公共機関が国民・住民に情報を提供する手段として、公式サイトとともに、民間のソーシャルメディアを併用することを推奨すると発表した。公共機関でのソーシャルメディアの利用に“お墨付き”を与えた格好である。同時に、運用者情報の明示や、なりすまし発生時の注意喚起などのガイドラインを提示するとともに、経産省は公共機関のTwitterアカウントであることを証明するための認証スキームの提供も始めた。