この連載では、「ダメに見せないことで評価を高める」ための仕事術を扱っている。前回までは五つ目のネガティブ特性である「本質が語れない、理解が浅い」について説明した。ネガティブ特性は以下の通りである。

  1. 先を読まない、深読みしない、刹那主義
  2. 主体性がない、受け身である
  3. うっかりが多い、思慮が浅い
  4. 無責任、逃げ腰体質
  5. 本質が語れない、理解が浅い
  6. ひと言で語れない、話が冗長
  7. 抽象的、具体性がない、表面的
  8. 説得力がない、納得感が得られない
  9. 仕事が進まない、放置体質
  10. 言いたいことが不明、論点が絞れない、話が拡散
  11. 駆け引きできない、せっかち、期を待てない

 今回から六つ目のネガティブ特性である。「ひと言で語れない、話が冗長」について説明する。

相手にとっての「真の課題」に焦点を当てていない

 ある目的のために説明しようとするが、内容の核心的な部分に焦点を当てて簡潔かつ明確に伝えようとしない。あるいは、伝えることができない。こうした行動特性を、筆者は「ひと言で語れない」と表現している。

 内容の核心的な部分とは、前々回(「本質」が見えない人はなぜ多いのか)や前回(「本質を語れる人」になる6の習慣)で説明した「本質」にほかならない。

 ビジネスの世界における本質とは、人それぞれがもつ真の課題のことである。「ひと言で語れない」とは、「相手にとっての“真の課題”に焦点を当てていない」状況となる。上司に決裁を受ける際に、その上司が判断するために必要な要素(必要性、その根拠、金額の妥当性など)を「簡潔かつ明確に伝えることができない」状況などが該当する。

 「話が冗長」も表現は異なるものの、意味は同じである。ある目的のために説明しようとするが、内容の核心的な部分だけでなく、あまり関係のない部分まで話してしまう状況を指す。