この連載では、「ダメに見せないことで評価を高める」ための仕事術を扱っている。前回(評価を高める仕事術(12)部下が無責任な上司を変える秘訣)までは、「無責任、逃げ腰体質」というネガティブ特性について説明した。ネガティブ特性は以下の通りである。

  1. 先を読まない、深読みしない、刹那主義
  2. 主体性がない、受け身である
  3. うっかりが多い、思慮が浅い
  4. 無責任、逃げ腰体質
  5. 本質が語れない、理解が浅い
  6. ひと言で語れない、話が冗長
  7. 抽象的、具体性がない、表面的
  8. 説得力がない、納得感が得られない
  9. 仕事が進まない、放置体質
  10. 言いたいことが不明、論点が絞れない、話が拡散
  11. 駆け引きできない、せっかち、期を待てない

 今回から五つ目のネガティブ特性である「本質が語れない、理解が浅い」について説明する。

「表面的なこと」ばかりを見て語る

 そもそも「本質」とは何だろうか。本来は哲学上の抽象概念を表すもので、ビジネスの世界では様々な意味で使われている。一般的には、物事の根幹をなす不変的な「真理」部分と説明されることが多い。変化しうる表面的なものとは異なるということだ。

 「本質が語れない」というのは、ここでは「物事の核心部分を探求せず、表面的なことばかりを見て語る」という意味で使っている。「理解が浅い」もほぼ同じ概念である。「仕事で必要になる事柄を深く理解しようとせず、表面的なことしか見ようとしない」行動特性を表す。

 これらのネガティブ特性は、一つ目の「先を読まない、深読みしない、刹那主義」とよく似ている。どちらも「表面的な部分しか見ない」という特性が共通している。

 「本質が語れず、理解が浅い」人は、ビジネスの重要な局面で間違った判断を下す可能性が高い。特にこの特性を持つ人がリーダーや上司である場合は、現場が疲弊することになる。部下への指示が、本質から外れた内容となってしまうからである。

 このようなネガティブ特性を持つ人は極力早く矯正する必要がある。この点を肝に銘じておかなければならない。