ITpro読者の中には、プログラム作成の経験をお持ちの方が多いだろう。現在も仕事や趣味でプログラムを作成しているという方もいれば、ここしばらくはご無沙汰しているという方もいると思う。そうした方々、および、これからプログラミングをしてみたいという方に向けて、とても簡単にプログラミングに取り組めるソフトウエアを使ってみて感動したので、ここでご紹介したい。

 きっかけは、日経ソフトウエア 2011年1月号からの新連載「Windows APIを使ってアプリケーションを作ろう!」の編集作業だった。この新連載はWindows APIを使ったプログラミングを基本から説明するもので、1月号はマンデルブロ集合の描画を行う簡単なGUIアプリケーションを作成しながら、その処理の重要部分である「メッセージループ」を学ぶ内容である。

Windows APIを使ったプログラムを変更できるか?

 信頼できる著者からの原稿およびサンプルプログラムだったので、編集作業自体はスムーズに進んだ。作業の終盤でふと、プログラミング入門者のために、マンデルブロ集合の描画の変化を数点の画像例で見せることができたらと思い立った。現状のサンプルプログラムは、写真1のように、マンデルブロ集合による描画の一例だけをウィンドウ内に表示するもので、これは記事中の説明をメッセージループに絞るためだった(このサンプルプログラムは日経ソフトウエアのダウンロードページからダウンロードできます)。

写真1●Windows APIを使ったマンデルブロ集合描画プログラムのサンプル
Visual C++ 2010 Expressで実行したところ(右下)。メニューの「ファイル」から「描画開始」を選択すると、マンデルブロ集合の画像を表示する。このサンプルは日経ソフトウエアのダウンロードページから入手可能(リンク先の2011年1月号「Windows APIを使ってアプリケーションを作ろう 第1回」)。
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 マンデルブロ集合の描画内容を変えるには、図形計算時のパラメータを変更すればよい。そうすれば、図形の表示位置や表示倍率に応じて様々な模様が楽しめる。そこで、プログラム中に記述されたパラメータの値を変えながら、いろいろな模様を試してみることにした。

 すると、1回の試行(ソースコード中のパラメータを変更してコンパイルし、実行するまで)に結構時間がかかるうえ、なかなか見栄えのする模様が得られない。そもそも、プログラム中のパラメータを直接変更して実行するという作業自体が、効率が悪い。せっかくプログラミングしているのだから、ソースコード中のパラメータを直接変更するのではなく、プログラム実行中の描画をマウス操作などで変化させて好みの模様を表示できればよいではないか。

 このように考えたものの、自力でプログラムを変更するのは難しい。好評発売中のムック「APIで学ぶWindowsプログラミング」を発行している手前、できないとは思いたくないが、ダイアログボックスやマウスを使うように変更するとなると、上記ムックを読み返しつつ土日いっぱい作業をする必要があるかもしれない。あるいは、それでもできないかもしれない。言い訳がましいが、見栄えのする模様を数点得るだけにしてはコストがかかりすぎるし、なるべく早くこの新連載の編集作業を終わらせて、記者から渡された特集の原稿を読まなければいけない。