携帯端末向けOS「Android」を搭載したスマートフォンやタブレット端末の新製品が次々と発表され、ちまたでは空前のスマートフォンブームに沸き立っている。筆者も早速大手家電量販店にて、NTTドコモが販売しているサムスン電子製の「GALAXY S」を操作してみた。

 調節しても輝度が高そうに感じる、Webブラウザの動作がたまにカクカクする、外観がiPhone 4に比べて安っぽく見える、といった個人的な不満はあるものの、軽量で持ち運びやすく、操作中もストレスを感じることはほとんどなかった。昨年秋に出荷されたAndroid搭載端末と比較すると、相当作り込まれている印象を受けた。端末の性能だけを見れば「今度こそiPhoneを追撃する態勢が整った」のではないか。

 では、スマートフォン入門者から「端末は同じようなスペックなのだから、iPhoneよりもAndroid搭載端末を選ぶべきか」と問われたら、みなさんはどう答えるだろう。筆者としては、残念ながら「NO」と答えざるを得ない。なぜならば、“怪しいアプリ”を使ってしまう恐れがあるからだ。

 スマートフォンの最大の魅力は、好きなアプリケーションを自由にダウンロードして使えることだ。iPhoneなら「App Store」から、Android搭載端末なら「Androidマーケット」から手軽にアプリケーションを入手できる。

 このApp StoreとAndroidマーケットを比較したときに、筆者はまだまだiPhoneに分があると感じてしまう。誤解がないように断っておくと、Androidマーケットの立ち上げ当初に比べれば、公開されているアプリケーションは、本数と質の両面でかなり充実した。アプリケーションの種類に限ってみれば、App Storeとそん色がないといっても過言ではないだろう。

 しかしながら、Androidマーケットで公開されているアプリケーションの中には、いまいち信頼性に欠ける、もしくは著作権処理に疑問を感じるものが数多く存在する。例えばゲームの項目を見ると、某ゲーム会社のキャラクターを無断で使ったと疑われるゲームがあったり、合法なのか違法なのかわからないゲームマシンエミュレータがダウンロードランクキングの上位にいたりする。果たして、Androidマーケットで販売しているアプリケーションは、著作権をはじめ法的な問題をきちんとクリアしているのだろうか。

 原稿執筆時点(11月中旬)では少し落ち着いているように見えるが、10月初旬に確認した限りでは、ダウンロード数の多いアプリケーションの上位に怪しいアプリケーションがズラリと並んでいた。しかも、こうしたアプリケーションの多くは有料だ。有料製品ならば大丈夫だろうと考えて、買ってしまうユーザーもいるのではないだろうか。

 今後、Android搭載端末が普及していくにつれて、数多くの一般ユーザーがAndroidマーケットからアプリケーションをダウンロードするようになる。もしプログラマたちが汗を流して開発したアプリケーションが、怪しいアプリーションのはびこるマーケットの中で埋もれてしまうとしたら残念だ。そうならぬよう、Googleにはアプリケーションの審査方法をしっかりと見直してもらいたい。