「iPad」の登場をきっかけに、モバイルルーターの人気が急上昇している。しかし、3G(第3世代携帯電話)対応モバイルルーターを新規契約すると、最低でも月4000円程度の通信料金が新たに発生する。年間で約5万円。少なくはない負担だ。そこで、WiMAXサービスの「WiMAX機器追加オプション」を利用して、自宅でも外出先でも1契約で済ませるという手法はどうだろうか。

 WiMAX機器追加オプションとは、1契約のWiMAX回線に複数の端末を登録できるオプションサービスのこと。例えば、USBアダプタ型端末でWiMAXを契約しているユーザーが、WiMAX対応モバイルルーターなどを追加で登録できる。料金は追加1台につき月額200円。最大2台まで追加登録できるので、合計3台のWiMAX端末を使い分けることができる。ただし、複数台の端末を登録できるからといって、それらの端末を同時に使うことはできない。インターネット接続が可能な端末は常に1台となる。

 WiMAXの理論上の速度は、下りが最大40Mビット/秒、上りが最大10Mビット/秒だ。実際のスループットは電波状況に大きく左右されるので判断が難しいが、筆者が試したところ、電波状況がさほどよくない室内などでもコンスタントに2M~3Mビット/秒、場合によっては5M~6Mビット/秒のスループットが出ていた。FTTHとは比較にならないが、ADSLとは良い勝負だ。モバイル用だけではなく、自宅用のインターネット回線としても十分、選択肢となる。

 単身世帯では、WiMAX対応モバイルルーターを1台購入して、それを自宅でも外出先でも利用すれば良い。しかし家族がいる場合はそうもいかない。そこで、WiMAX機器追加オプションを利用するというわけである。例えば、自宅のパソコンではUSBアダプタ型端末を使い、iPadを外出先で使う際にはモバイルルーターを使う(写真1)。UQコミュニケーションズの完全定額プラン「UQ Flat」の料金は月額4480円(1年間だけ月額4280円とするキャンペーンを11月末まで実施中)。月200円のWiMAX機器追加オプションで端末を1台追加しても4680円だ。これだけで、自宅も外出先もネット接続できるとなると、かなりオトクと言えよう。

写真1●自宅ではUSBアダプタ型端末を使い、外出先ではモバイルルーターを使う<br>シンセイコーポレーション製「UDO3SS」。
写真1●自宅ではUSBアダプタ型端末を使い、外出先ではモバイルルーターを使う<br>シンセイコーポレーション製「URoad-7000SS」。フル充電で約3.5時間の使用が可能。
写真1●自宅ではUSBアダプタ型端末を使い、外出先ではモバイルルーターを使う
左が「UDO3SS」、右が「URoad-7000SS」。いずれもシンセイコーポレーション製。URoad-7000SSは、フル充電で約3.5時間の使用が可能。
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写真2●モバイルルーター「Aterm WM3300R」<br>NECアクセステクニカ製。フル充電で約2.5時間の使用が可能。切り替えスイッチを「USB」にすればUSBアダプタ型端末としても使える。
写真2●モバイルルーター「Aterm WM3300R」
NECアクセステクニカ製。フル充電で約2.5時間の使用が可能。切り替えスイッチを「USB」にすればUSBアダプタ型端末としても使える。
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 では初期費用はいくらか。例えば、UQ WiMAXのMVNO(仮想移動体通信事業者)として「YAMADA Air Mobile WiMAX」を提供しているヤマダ電機の場合、完全定額プランの「YAMADA Flat」(UQ Flatと同等サービス)に加入することで、WiMAX対応モバイルルーター「Aterm WM3300R」(写真2)を2800円で購入できる。一方、USBアダプタ型端末「Aterm WM3200U」は1万2800円。これに登録料2835円が必要になるので、合計の初期費用は1万8435円となる。ヤマダ電機と同様に「BIC WiMAX SERVICE」をMVNOとして提供しているビックカメラも、似たような金額だ。

 ただし、UQコミュニケーションズ、ヤマダ電機、ビックカメラのいずれも、最低の契約期間を30日としている。このため、いったん両端末を契約して購入費用を抑えておき、30日たったら片方の契約を解除して機器追加オプションを利用するという手もある。1万2800円のAterm WM3200Uも、YAMADA Flatに加入するとわずか200円。1カ月間4480円を支払ったとしても、この方が安くなるというわけだ。実際、筆者がヤマダ電機に行って機器追加オプションの質問をした際には、店員にはいったん2台の契約を結ぶやり方を勧められた。