SEはいろんな問題を抱えている。「人月扱い」「モノ扱い」「常駐」「顧客への体制図の提出」といったビジネス絡みの問題や、「技術偏重」「ビジネス意識の乏しさ」「壁作り」「受身姿勢」「チームワークの弱さ」など体質的問題などだ。ただ、これらは20年、30年前からSEが抱え続けている問題でもある。筆者の見るところ、20年、30年経っても大して変わりがない。今ではSE職種は3Kと評されることもある。これらの問題が何10年も一向に解決しないのはなぜだろうか。それはIT業界のビジネスのやり方やユーザーの姿勢に問題があることを筆者は否定しないが、当事者であるSEマネジャーやSEにも少なからず問題があると考えている。

 確かにこれらの問題は簡単には解決できない難しい問題ばかりだ。だがSEマネジャーやSEが「SEの問題は我々SEが解決するんだ」という強い当事者意識を持って挑戦すれば、相当解決できると筆者は考えている。しかし、今も昔も自分たちで解決してやろうという強い意思を持ってそれに挑むSEマネジャーやSEは非常に少ない。そして彼ら彼女らは「仕方がない」と諦めているのか、自分たちが置かれている立場に甘んじているのか、居心地が良いのかは分からないが、ほとんどの人が討ってでない。だが、酒の場などでは愚痴や不満も言うし、会社や上司などのやり方を批判もする。だが、自分ではほとんど何もしない。

 例えば「営業が顧客と勝手に約束するからSEが苦労する」とか「SEマネジャーが弱いから余計な仕事が増える」などと愚痴などをいう。また、あるSEが「SEの常駐はやめるべきだ」と言ったとすると別のSEが「それはユーザーがOKしない。ビジネスにマイナスになる。そんなことが出来るか」と言って批判する。中には「会社から顧客に行く時間がもったいない。非効率だ。それも考えたのか」などと変な批評をしたりケチをつけたりする。代替案も言わない。これはSEマネジャーもしかりだ。自分のSE時代には「常駐して顧客に拘束されるのは嫌だ。会社やSEマネジャーはなぜ顧客の言いなりになるのか」などと文句を言っていたのに、その立場になるとケロッと忘れて以前の上司と同じことをやっている。愚痴や不満を言ったり他人を批判したりはしても、自分では何もしない。こんな評論家的SEやSEマネジャーが今も昔も少なくない。批判や批評は結構だが、問題はそれだけで終わることだ。自分でやろうとしない。こんなSEの姿勢が長年繰り返し続いている。その結果、前述の諸々の問題が解決できずにいると筆者は考えている。ちょっと言い過ぎかも知れないが、これで良いのだろうか。

 要はSEマネジャーやSEのマインドの問題である。今のSEのマインドについて一つの具体的な事例を次に紹介する。前回、筆者はSEが長年抱えている問題の一つである“チームワーク”について書いた。SEはチームで仕事をすることが重要であると述べ、そのために筆者は子供が幼稚園でやっていた誕生会にヒントを得て、筆者のグループで“誕生会”を居酒屋で行なったと説明した。それが仲間同士が仕事を離れて遊ぶことでお互いが仲良くなり、チームワーク作りに役立ったことを紹介した。仕事を離れて遊ぶには、このほかにもスポーツやバーベキューパーティ、旅行などいろいろあるが、誕生会は簡便だから皆さんも行なってみたらどうかと勧めた。

 それに対していろいろなコメントを頂いた。コメントを頂いたのはうれしいが、その内容は批判や批評的なものがほとんどだった。Aさんのコメントは「なんで飲み屋でするんでしょうか?お酒がドクターストップな人や、タバコが生理的に受け付けない人がいる事を考えれば、『誕生会をしても来ない』のは、何でも飲み屋で行うとのであれば仕方がないと思いますが?生理的に受け付けないもの等を前に出されて、『仲間で祝うのがなぜ悪い』と言われてもそれは有る意味いじめになります。それに『幼稚園では』酒もタバコも無いですし」という内容であった。またBさんのコメントは「結局、アルコールが入らなければ、お互いに心が開けない、ということでしょうか?(中略)そこまで仰るのであれば、飲み会以外の方法ももっと出すべきではないでしょうか?(中略)問題は、どうやってお互いの心の壁を取り払うのか…。その為の方法論を、アルコール以外に見出して頂きたいです。アルコールを伴えば打ち解けあえると信じているのは、『最近の中年』までです」という内容だった。このほかにも、Cさんの「筆者が伝えたい事で紹介している例がごく一部の地域のごく一部の時代に成功した例である。結局この例のために筆者が伝えたい事が多くの人に誤解や反感を抱かせてしまっているのがちょっと残念ですね、掲載にあたっては内容を少し配慮したほうがよろしいかと思います」という批評的なコメントや、Dさんの「「(言いたいのは)押し付けのように『チームワーク作りのため』の何かを部下に伝える、ではなくて、チーム内で自然と色々な話が出来るような環境をマネージャは提供すべきだ、ということでは。この方の場合は飲み屋でそれを行っていただけの話で、そういう場が提供出来るのであれば別に場所が飲み屋でなくてもいい話です。文章の一端を掴まえて、屁理屈のように全体を否定するのは、それこそ『幼稚園のような』物言いです」といううれしいコメントあった。