日経コンピュータは毎年、企業情報システムの「顧客満足度調査」を実施している。15回目となる今回は、システム開発・運用などのサービス、PCサーバーやストレージなどのハードウエア、グループウエアやERPパッケージなどのソフトウエア、合計24分野でITベンダー各社の顧客満足度を算出した(関連情報)。

 今回の調査結果を一言で表すなら、「未曽有の地殻変動」だ。前回と比較可能な20分野のうち14分野で首位が交代。そのうち10分野の首位は、該当分野で初めて栄冠を手にしたITベンダーである。首位は逃したものの、大きく順位を上げたベンダーも少なくない。調査対象企業・団体や調査方法は前回とほぼ同じだったにもかかわらず、である。

 ランキング企画の特集は、総合順位だけを見て“おしまい”という読者は少なくないだろう。だが、顧客満足度調査の場合、それだけではもったいない。順位とは別に公表しているデータを使うと、もっと楽しめて、もっと役立てることができる(関連情報)。

独自のランキングを作ってみる

 顧客満足度調査を3倍楽しむ、3倍役立てる方法を一言で説明すると、調査結果として公表しているデータを基に「独自の満足度ランキングを算出すること」である。

 実は日経コンピュータでは、顧客満足度調査データの利用方法を一部制限している。例えば、独自のルールでランキングしたり、特定の評価項目だけを抜き出してランキングしたりしたデータを、広告や販売支援のために公表することは禁止している。ITベンダーの都合のいいように、調査データが使われないようにするためだ。

 ただし、ITベンダーを選定するための参考情報として、また、個人で楽しむためであれば、データを自由に使って「独自の満足度ランキング」の算出などに活用していただきたい。そこで以下では、筆者が日経コンピュータ誌面に掲載したものとは別に、密かにランキング表を作成したことのあるデータの算出方法を紹介する。調査データの利用制限により、そのランキング結果をこの場で公表できない点は、ご了承いただきたい。

方法1●「継続意向度」でランキングする

 顧客満足度調査では、総合満足度を測る評価項目とは別に「継続意向度」を聞いている。現在利用している製品・サービスを提供するITベンダーと付き合い続けたいか、バージョンアップや次の開発・運用案件で同じITベンダーに依頼したいかどうか、を聞いた結果を指標化したものだ。これを基にランキングすると、ITベンダー各社に対する将来の期待度が見えてくる。

 総合満足度と継続意向度の相関性はある。だが、顧客満足度が高いからといって、必ず継続意向度が高いというわけではない。満足度がランキング上位に入っているにもかかわらず、継続意向度が回答者の全体平均を下回っている場合もある。

 満足度が高いのに、継続意向度が低い場合は、「現在利用している製品・サービスには満足しているが、その導入プロセスで苦い経験をしたから二度とお願いしたくない」「導入当時はお金があったからよかったが、次回も同額の予算を投じることは難しい」といった背景があるようだ。