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日経情報ストラテジー

名将・植田辰哉監督のやる気向上策

2010/07/30
島津 忠承=日経情報ストラテジー
全日本男子バレーボールチーム監督の植田辰哉氏(撮影:北山 宏一)
[画像のクリックで拡大表示]

 6月25日の朝、筆者は日本を代表するアスリートたちがトレーニングに励む「味の素ナショナルトレーニングセンター」(東京都北区)を訪れた。厳重に警備された受付を通り抜け、バレーコートのある体育館に入る。足を踏み入れるなり「おはようございます」と張りのある声が出迎えた。声の主は、全日本男子バレーボールチーム監督の植田辰哉氏である。筆者より25センチも高い196センチの上背。引き締まった表情。まっすぐな背筋でコートに立つ姿は、想像以上の迫力だ。思わず筆者も背筋を伸ばし、精一杯大きな声であいさつを返した。

 ご存じの通り、植田氏は2004年11月に全日本男子バレーボールチームの監督に就任。2008年、自身が選手として出場したバルセロナ五輪以来16年ぶりの五輪出場にチームを導いた。五輪への出場を決めた2008年のアルゼンチン戦で、うつぶせで大の字になって喜びを表した様子を記憶している方も多いだろう。

 今回の取材のテーマは、「どうすれば現場のモチベーションを高められるか」。不景気が長引くなかで、現場のモチベーション低下に悩んでいる企業は多い。欧米市場の不調に加えて、円高の進行、中国など新興国の企業の台頭など、頑張っても報われにくい状況にあるためだろう。経済が成長していた時代は、賞与などの金銭的報酬や昇進・昇格によって動機づけができたが、最近はそれも難しい。

 突破口となるアプローチを考えるうえで、植田監督ほどふさわしい人物はいないのではないかと筆者は考えた。2009年秋に出版された『植田辰哉 徹底マネジメント』(総合法令出版)にも記されているように、植田監督が就任する以前の全日本男子バレーボールチームは選手たちのモチベーションが低かった。イタリアや中東諸国などの“新興国”の台頭にあおられて上位進出が難しくなり、さらには世界ランキングで見れば格下の相手国に敗北を喫することさえ珍しくなくなっていた。強豪国に倣って合理的な練習方法を導入しても、目立った成果は表れなかった。

 このようにして10年以上も五輪から遠ざかった結果、合宿初日に寝ぼけ眼で監督の前に姿を見せる選手が出てくるほどになっていた。そんなどん底のチームを立て直して、オリンピック出場を決めた植田監督に学ぶところがきっとあるはずだ。

練習で小さな成功体験を積ませる

 取材を通じて、監督は快く様々なポイントを明かしてくれた。特に印象に残ったのは、この言葉だ。「ビジネスの世界でも一生懸命に営業しているのに、なかなか売り上げに結びつかないようなことがありますよね。そんな時は一つひとつのプロセスを褒め、小さな成功体験を積ませるのです。良くなっているという実感を持たせてあげることが大事です」

>>4つのクールに分けて練習を課した
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