2008年9月のリーマンショックから、もうすぐ2年になろうとしている。先週、海外のITベンダーが4~6月期の決算を相次いで発表したが、米Appleや米Intelが四半期ベースで過去最高の業績を上げるなど好調な企業が多く、十分な回復ぶりを示している。
その一方、国内のIT業界に目を向けると、ため息が出そうになる。富士通、NEC、日立製作所など大手ITベンダーの2009年度決算(ゴールデンウイーク前後に発表)では、利益は確保したものの多くの企業が減収となった。日経コンピュータが主要ITサービス会社142社(ハード/ソフトウエアメーカーを除く)に対して実施した調査でも、前年度に比べ売上高を伸ばした企業が2割にも満たなかったことが明らかになった(詳細は日経コンピュータ7月21日号参照)。
果たして、国内IT業界の景気はいつ回復するのだろうか。ITベンダー各社の2009年度決算発表会では、「国内IT市場は2010年度上期に底を打ち、下期から回復基調になる」と予想するところもあった。だが最近は、今秋以降の国内経済の停滞を懸念する声が高まっている。昨年末ほどではないものの、先行き不透明な状況に逆戻りしてしまったかのようにも感じる。
今後を占う手がかりとして、国内大手ITベンダーの4~6月期決算が今週後半に発表される。明るい話題が出てきてほしいと願っているが、半面、やや不安な材料もある。日本経済新聞の2010年夏ボーナス調査によると、情報・ソフト業種7社の支給額が前年夏と比べ11.39%減少したという。必ずしも直近の業績がボーナスにすぐ反映されるとは限らないが、気になるところである。
現場の直感は案外鋭い
このように、マクロ的に見ると国内IT業界の景気がいつ回復するのか読みづらい。だが、角度を変えて、ITpro読者のミクロな現場目線からは、いったいどう見えているのだろうか。
以前、このコラムでも書いたが、現場の直感は案外鋭い。ある会社で失敗プロジェクトを分析したところ、プロジェクトマネジャーを除くメンバーの7~8割が、比較的早い段階で「このプロジェクトはうまくいかないと感じていた」という話を紹介した。あくまでも感覚的なものだが、現場の観察力や分析力を侮れないことがわかる。
同じように、IT業界の景気動向についても、ITpro読者の皆さんが現場で日々感じることがあるはずだ。例えば新規案件の受注状況やシステム開発プロジェクトの状況の変化を通して、「良い方向に向かっている」あるいは「悪い方向に向かっている」という景気判断はできるだろう。
そうしたITpro読者の現場感覚を基に、IT業界の今年後半(7月~12月)の景気を予想してみたい。下記のアンケートを通して、決算発表の場では決して語られることのない、現場の本音を聞かせてもらえないだろうか。
アンケートでは、今年後半の景気予想はもちろん、IT業界の先行きに影響を与えそうな要因についても聞きたい。例えば、海外ベンダーに比べ、国内ITベンダーの業績回復が遅れているのは、単に日本経済の回復が遅れているからなのだろうか。そこに日本市場の特殊性や構造的な問題はないのか。また、これからIT業界に大きな構造変化をもたらし得るクラウドコンピューティング(SaaS、PaaS、IaaSなど)は、あなたの仕事やあなたの会社の業績にどういう影響を与えるのだろうか。これらの点については既に様々な議論があるが、現場の声を集約した結果がどうなるのか、注目している。
アンケートの結果は、来週末からITproで公開する「夏休みスペシャル」の企画の一つとして公開するので、ぜひ楽しみにしていただきたい。その前に、まずは下記の問いに回答していただければ幸いである。