ここ最近、業務の都合上スマートフォン(スマホ)を2台持ち歩いている。ソニー・エリクソン製のXperia(エクスぺリア)と米アップルのiPhoneである。特に前者に関しては直近まで「Xperia活用ガイドブック」の編集に携わっていたため、それこそ四六時中いろいろ試していた。いずれも“グローバル”な端末であるため、逆にガラケー(ガラパゴスケータイの略)と呼ばれる一般の携帯電話が今後どうなっていくかが気になってくる。

 そんな中、6月末、テレコムサービス協会(テレサ協)の関東ネットビジネス21研究会が主催する会員向け勉強会に出席する機会を得た。3回目となる今回のテーマは「クラウドコンピューティング時代のデータセンター活性化策について」。内容は5月28日に総務省が公表した「クラウドコンピューティング時代のデータセンター活性化策に関する検討会」報告書に基づくものである。

 活性化の対象となるデータセンターは当然ながら国内のものだ。勉強会の講師は総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 事業政策課 課長補佐の高村 信氏が務めた。この勉強会で出た話題は、スマートフォンのユーザーにとって聞き捨てならない話ばかり。突然自分が保存していると思っていたクラウドサービスのデータにアクセスできなくなるリスクがあることを改めて認識した。クラウドサービスの導入を検討している企業もこうしたリスクは無視できない。旧聞に属する話もあるが、以下をまずは見ていこう。

銃器を持ったSWATが急襲!?

 「クラウドコンピューティング時代のデータセンター活性化策に関する検討会」では、データセンターを情報通信産業の要と認識した上で、活性化しなければならない理由をいくつか説明している。その一つが海外のデータセンターを使った場合には回避できない法的リスクの問題だ。ここでは(1)サービス提供者が海外のデータセンターを利用した場合、海外の法律の適用を受けることになる、(2)ユーザーにとって海外のデータセンターから提供されるサービスは海外の法律が適用され、国内法による保護が困難になる――という2点に絞る。そして問題解決の方向性としては、クラウドサービス提供者のデータセンターを国内に誘致もしくは日本国内のデータセンターをクラウドサービス提供者に利用してもらうことを目指す。つまり「海外ベンダーの土着化」(高村氏)だ。

 各国・地域には、個人データや有事の際のデータの取り扱いに関する法規制が存在する()。高村氏はリスクの例として、米国のデータセンターの機材が米連邦捜査局(FBI)によって予告なしに差し押さえられ、ユーザー企業約50社が電子メールやデータベースにアクセスできなくなった事例を紹介した。2009年4月2日、米テキサス州のデータセンター運営企業であるCore IP Networks社をFBIが急襲。データセンターのシャットダウンを命令し、機材を押収したという。理由は同社から過去にサービスを購入したことがある企業を調査するため。その命令や機材の押収の根拠となる法律が表に挙げた愛国者法だ。米国のデータセンターであれば同じような事態はいつでも起こり得るという。

表●国際的なデータセンター設置における法的リスク
表●国際的なデータセンター設置における法的リスク
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