米Appleの最新スマートフォン「iPhone 4」がデビューした。タブレット型の姉妹機「iPad」と同系のA4プロセッサや高精細ディスプレイ、大容量メモリーなどを、手のひらサイズのきょう体に収めた製品だ。ただiPad以上に排熱やバッテリに制約がある以上、性能チューニングのさじ加減は難しい。iPhone 4は何を“我慢”した製品なのか。ベンチマークテストの結果から推察した。

800MHz動作で“我慢”

 iPhone 4の主な仕様は、960×640ドット表示の3.5型液晶パネル、動作周波数非公開のA4プロセッサ、500万画素デジタルカメラといったところ。3.5型の液晶パネルながら、9.7型の液晶パネルのiPadの1024×768ドット表示(XGA)に迫る解像度である。

 iPhone 4を1週間弱試したところでは、iPadとそん色ない体感速度だ。iPadをそのまま小さくしたような印象を受ける。iPadのA4プロセッサの動作周波数が1GHzであることから、同等の仕様で動作していると見ていた。

 ところが基本的な演算性能を比較してみると、iPhone 4のA4は800MHz動作で“我慢”した仕様のようだ。検証するのに使用したのは、ベンチマークソフトの「MFLOPs」と「Diagnostics」である。いずれもCPUの演算性能のみが結果を左右する、シンプルなベンチマークソフトだ。

図1●浮動小数点演算性能を計測する「MFLOPs」と「Diagnostics」の測定結果
図1●浮動小数点演算性能を計測する「MFLOPs」と「Diagnostics」の測定結果
値はiPhone 3GSを1とした相対性能

 iPhone 3GSを1とした時の相対性能は、iPhone 4がMFLOPs、Diagnosticsとも1.35。iPadがMFLOPsで1.65、Diagnosticsで1.67だった。

 A4プロセッサのアーキテクチャが同じとすると、動作周波数で差がついたと見られる。動作周波数は、iPhone 4は非公開、iPhone 3GSは600MHz、iPadは1GHzである。MFLOPsおよびDiagnosticsの結果から推測すると、iPhone 4搭載のA4プロセッサは800MHzで動作しているようだ。