割り込みの仕事を片づけたら、残り時間は1時間30分。机の上から「最低限の仕様を満たす」というメモが出てきた。投げたかどうかの判定処理はあきらめて、音を出すことを優先することにする。

 Androidで音を再生するコードを探しては読む。適当なものを見つけて動かす。理解した内容を自分のプログラムに組み込む。あわてず、1文字ずつ、たんたんと……。

最低限だけど動いた

 こうして、残り15分で書いて動かしたプログラムの一部が図7である。

図7●書いたプログラムの一部
図7●書いたプログラムの一部

 サンプルプログラムに毛が生えた程度のものではある。仕上げという意味ではほとんど何もできなかった。

 それでも、クイズ番組でよくある「ピンポーン」という音に入れ替えてみたら、意外と楽しめるアプリになった。なにより、自分で作って動いた喜びがたしかにある。

使いやすいAndroid SDK、楽しい24時間プログラミング

 アプリを作ってみてわかったこともたくさんあった。例えば、Android SDKが使いやすいことである。参考にできるサンプルコードはけっこうあるし、リファレンスも英語ではあるが整備されている。各種デバイスはうまく抽象化されていて、使い方さえ知れば手軽に扱える。メソッド名もわかりやすい。よくできたJavaScriptのライブラリを使うときに似ている。

 また、EclipseとJavaの組み合わせは、ひさしぶりにプログラミングをする筆者をずいぶん助けてくれた。普段からJavaに慣れているプログラマであれば、週末Android SDKで一度遊んでみるだけで、かなり多くのものを作れるようになるだろう。

 24時間という自分に課したルールは、締め切り効果を高める点でとても効果的だった。プログラミングはそもそも楽しいものだが、その楽しみをより深めてくれるルールであるように思う。

 冒頭で紹介したクックパッドの「開発コンテスト 24」も、参加する開発者にとっては、ハラハラドキドキしながら楽しめるだろう。普段からソフトウエア開発に携わるエンジニアなら、筆者よりもずっと、「やりたいこと」により近い、いいものを生み出せるような気がする。

 本コンテストに限らず、さまざなな24時間、あるいは数日の集中したプログラミングの機会がある。これらは「ハッカソン(Hackathon)」と呼ばれており、楽しめ、かつ成果物が生まれる良い機会につながる可能性が高いと筆者は考える。腕に覚えがなくともおすすめしたい。筆者のように一人でなく、仲間がいればより楽しいだろう。

 最後に少し宣伝を。ITproのAndroidアプリコンテストの締め切りは2010年5月10日です。すでにどこかで公開した作品でもご応募いただけます。賞金は100万円。詳細は以下のURLにあります。開発者のみなさまのご応募をお待ちしております。