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IT事業と資金決済法[5]エスクローサービス、回収代行サービス等と資金決済法の関係

2010/05/26

 前回は、資金移動(為替取引)サービスにおいて、資金決済法上、どのように規制が緩和されることになったのか、又は、どのような規制を受けるのかという点について言及しました。

 今回は、規制緩和によって実施可能となるのではないかと思われるエスクローサービスと、資金決済法に関する議論を通じて、為替取引の該当性が問題とされている回収代行サービス等について、言及しようと思います。

1 資金決済法の施行により可能となるであろうエスクローサービス

 ネットオークションの取引において、商品を購入する場合、出品者がどのような人物なのかがわからないのに支払いをするのは不安でしょう。そこで、買主が、買主及び売主とは中立的な立場に立つ、第三者(以下「エスクローエージェント」という)に売買代金を預託し、商品の引渡しが完了したことを確認できた時点で、エスクローエージェントが売主に売買代金を支払うという方式が採用されることがあります。このようなサービスのことをエスクローサービスといいます。

 エスクローサービスは、もともと、不動産取引やM&A取引において利用されていた制度ですが、資金決済法上、資金移動業者が可能な為替取引は100万円以下のものに限定されていますから、現実的に影響を受けるサービスは、ネットオークションでのエスクローサービスになるでしょう。エスクローサービスを図示すると、以下のようになります。

図1 エスクローサービスの実行手順
図1 エスクローサービスの実行手順
  1. 買主及び売主が、エスクローエージェントに対し、取引内容を通知する。
  2. 買主がエスクローエージェントに対し、代金を預託する。
  3. エスクローエージェントが売主に対し、代金入金の通知をする。
  4. 売主が買主に対し、商品を発送する。
  5. 買主がエスクローエージェントに対し、商品を確認した旨を通知する。
  6. エスクローエージェントが売主に対し、代金を入金する。

 ここで、エスクローエージェントが、「2. 買主がエスクローエージェントに対し、代金を預託する。」「3. エスクローエージェントが売主に対し、代金を入金する。」のために、口座を開設し、多数の売主、買主を仲介する場合を想定すると、為替取引に該当すると評価される可能性が高く、以前は、銀行以外が、自己の名義で実施することに躊躇していたのではないかと思います。

 しかし、資金決済法上は、資金移動業者としての登録をすれば、銀行以外の事業主でも、為替取引を実施できるので、エスクローエージェントになることが可能となる余地がでてきたのではないかと考えられます。

 従って、銀行以外の事業主にとっては、新たなビジネスチャンスが広がったといえるのではないでしょうか。

>> 2 資金決済法上の資金移動(為替取引)と回収...
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著者プロフィール

松島 淳也(まつしま じゅんや)
 静岡県浜松市出身。1995年3月,早稲田大学理工学部電子通信学科卒業。1997年3月,早稲田大学大学院理工学研究科修了。コンピュータグラフィックスを利用した医学用画像処理の研究に従事。1997年4月,富士通株式会社入社。マイクロプロセッサの開発,電子商取引システムの開発等に従事。2006年10月,弁護士登録,内田・鮫島法律事務所に入所。

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