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日本のIT産業が“脱皮”できないであろう三つの理由

2010/03/16
志度 昌宏=Enterprise Platform

 経済不況が長引くなか、IT産業に吹く向かい風は、いまだ弱まる気配を見せない。そうした中で、大手ITベンダーのトップが交代したり、クラウドコンピューティングに照準を合わせた新戦略を打ち出したりしている。各社が共通に口にするのが、中核事業の強化とグローバル化だ。

 しかし、複数のトップ就任会見や事業戦略の報道などを見る限り、新たな一歩を踏み出すための“脱皮”すら難しいように映る。以下、筆者がそう思う理由を三つ挙げる。みなさんは、どう考えるだろうか。

理由1:大手は“ものづくり”の意識が強い

 日本の大手ITベンダーの多くは、コンピュータ・通信はもとより、携帯電話を含む各種端末や半導体、さらに家電なども手がける総合ベンダーだ。証券市場における業種も「電機」に分類される。

 なので、大手ベンダーの立脚点が“ものづくり”にあることは否定しない。むしろ、これからの時代は、世界に通用するヒット商品を生み出せるようなグローバルカンパニーであってほしい。各社の事業計画でも実際、グローバル対応をこれまでになく強調している。

 しかし、各社の意識は、あくまでもコンピュータハードや端末といった機器類を、それを使って事業展開する顧客企業に売り込むことにとどまっているように見える。結果、「世界で年間○○万台を売る」といった目標を掲げたり、「iPhoneやiPadのような端末は、当社ならいつでも提供できる」といった技術力を鼓舞したりする発言が飛び出してしまうのではないだろうか。

サービスの価値や種類が競争力の源泉に

 大手ベンダーが販売目標を掲げるのは、もちろん重要だ。しかし、クラウドが現実のものになろうとしている時代である。ITベンダーが他社と競争する上での差異化ポイントは、ハードの販売台数そのものから、それらをプラットフォームにして生み出されたサービスの価値や種類のほうに移り始めている。

 しかもクラウドの利用者は、その内側で動作するハードなどのメーカー名まで気にしない。iPhoneのような情報端末にしても、端末ベンダー自らがアプリケーション流通の仕組みを構築し、ハード+サービスによる新たなライフスタイルを提案することが不可欠だ。

 「A社が□□サービスで使っている端末は当社の製品です」という表現方法は、通信事業者が端末ブランドをコントロールする日本の携帯電話市場の仕組みと変わらない。つまり、自らが直接的なリスクを負わない。この仕組みのために、日本の携帯電話業界は、グローバルには閉ざされた“ガラパゴス”だと指摘されているし、携帯電話メーカー各社も海外進出に失敗したのではなかっただろうか。

 “ものづくり”にこだわり、国際的な競争力を失った例は数多い。低迷する家電業界も、その一例だろう。各社はビデオテープや大容量光ディスクの記録方式などで争い、あくまでも「プレーヤー」を開発・販売しようとした。だが、ネットの時代になりYouTubeやUstreamといった動画配信の仕組みが出てきた今、プレーヤーの概念は大きく変わっている。コンピュータの開発・製造においても従来と異なる発想が必要だろう。

理由2:インテグレータが“均等外交”を堅持

 IT業界において、大手ベンダーに次ぐ勢力を持つのがシステムインテグレータだ。オープンシステムの浸透で、大手ベンダーと同じかそれ以上の“組み合わせ力”を持つまでになった。しかし、マルチベンダー対応の名の下に、主要外資系ベンダーとの“均等外交”を堅持する姿勢は、ほとんど変わらない。

 この姿勢のどこが問題なのか。利用企業としても一つのベンダーに囲い込まれたくはないのだから、マルチベンダーにワンストップで対応してくれるインテグレータは、むしろありがたい存在のはずだ。しかし、グローバルの視点で見れば、均等外交のままでは問題がある。

 例えば、米オラクルにM&A(統合・買収)された米サン・マイクロシステムズを考えてみよう。グローバルには今、米IBMや米HP(ヒューレット・パッカード)などにとって、サン導入企業は最も狙うべきリプレース対象だ。特別価格や移行支援ツールなどを用意し、利用企業にリプレースの決断を迫る。

>>ベンダー戦略が競合に筒抜け
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