ITpro読者のみなさんなら「Twitter」のことをご存じだろう。恥ずかしながら、筆者がTwitterを本格的に使い出したのは2009年11月末くらいからで、その経験はほんの3カ月弱にすぎない。今ではその世界にどっぷりはまっている。

 今回は、そこで感じた新鮮な感覚を書いてみたい。Twitterをすでに使いこなしている人には“いまさら”という内容だが、ご容赦願いたい。

 ミニブログとも称されるTwitterは、140文字以内の「つぶやき(ツィート)」と呼ばれる短い文をサイトに書いていくサービスである。つぶやいた内容は、「フォロー」という形で自分のことを登録している人に伝わる。逆に、自分の画面には自分がフォローしている人たちのつぶやきが次々と流れてくる。

 極端に言うと、Twitterでできることは、たったこれだけである。使っていない人には、どこが面白いのかわからないだろう。たった140文字で何が伝わるのかと思う人もいるかもしれない。筆者も、いくら説明を読んだり聞いたりしてもさっぱりわからなかった。実際に使ってみて、ようやくその便利さが実感できるようになってきた。

他人の考えがリアルタイムに伝わる

 Twitterには、いろいろな特徴がある。その中でも、筆者がもっとも便利さを実感しているのはそのリアルタイム性だ。

 ブログの場合、情報を公開する前に書いた文章を読み直して推敲する。その前に書く内容を探して、構成を考えたりもしているだろう。もちろんタイトルにも一工夫したい。

 こうした手間がかかるため、ブログにおける情報更新はデイリーを基本的な単位としている場合が多い。読む方も1日に1回程度確認するといった見方をすることが多く、結果としてそこに書いている情報は受け取ったときの前日、場合によっては数日前の出来事という時間感覚だった。

 それに対しTwitterでは、ほぼリアルタイムに近い状態で情報をやりとりする。なにせ140文字なので、構成などをいちいち考える必要がないし、タイトルもつけなくてよい。ほとんどの人が、その場で思いついた内容を気軽に書いてアップしている。

 このため、だれかがどこかで考えた内容が、Twitterを介してすぐにほかの人に伝わるのだ。例えば、年末の紅白歌合戦や最近だったらオリンピックのテレビ放送を見ながら、「今のはどうだった」「こんなすごいことをやっている」といった情報がリアルタイムでやりとりされている。

 もちろん、チャットなどを使えば、これまでも知り合い同士で同じようなことができた。だが、Twitterの場合は特に事前に約束などをしなくても、そのときに同じ番組を見ているもの同士で感想を言い合える。だれかが引用している、ほかの人のつぶやきを見ることで、感想をやりとりする仲間をその場で増やすことができる。

 これらのやりとりは基本的に公開されているので、自分の知らないところで勝手に入ってくる人もいる。同じものに興味を持つ人がつながって、その輪がどんどん広がってくる感覚は新鮮である。

 どの電車が止まっている、どこで雪が降り出した、といった情報も、その場に遭遇した人がつぶやくことで次々と入ってくる。同じ内容がテレビの速報やニュースで伝えられるよりもはるかに早く、自宅や会社にいながら、ほぼリアルタイムで伝わってくるのだ。まるで自分に情報を送るセンサーが、日本中あるいは世界中に広がっているような感覚さえ覚える。

Twitterは情報中毒に必須のツール

 ここまでは、個人的な趣味の例を挙げたが、このTwitterによるリアルタイム性は仕事の上でも役に立つ。自分と似たテーマに興味を持っている人をフォローしていくことになるので、それらの人が興味を持った情報、つまり自分にも興味がある内容がすぐに伝わってくる。

 どんなに自分が興味をもっているテーマの話でも、いつもその場にいることなど到底不可能だ。Twitterを使えば、そうしたものについても、現場に立ち会った人、あるいは近くにいる人からリアルタイムで情報が次々と入ってくる。

 それらのつぶやきを見たり、同じものに興味がもつ別の人がつぶやいた内容を見たりして、自分以外の人の評価をいち早く知ることもできる。場合によっては、うっかり見落としていたものがあっても、勝手に情報が入ってきて「あぁ、そういうことがあったんだ」と気づかせてくれる場合もある。

 仮に、その時点で自分がフォローしている人の中に詳しい人がいなくても、自分と同じ興味を持っている人が関連するつぶやきを見つけてRT(リツィート)してくれることもある。RTとは、ほかの人のつぶやきを、自分をフォローしてくれている人にも伝わるように、つぶやき直す機能である。

 この使い方により、そのトピックに詳しい人を見つけることができる上に、その人を新たにフォローをすることで同じ興味をもつ人の輪がどんどん広がっていく。その後に関連したテーマで新しい話題が発生したときも、より簡単かつすぐに情報が入ってくるようになる。次々とフォローしていくうちに、世界中の人とつながっていくようにさえ感じる。

 リアルタイム性でメリットを感じるのは、フォローしている人から情報が入ってくることだけではない。自分をフォローしてくれる人が増えてくると、今度は自分のつぶやきに対してリアルタイムで反応が返ってくることも期待できる。例えば、わからないことや困っていることをつぶやくと、それを読んだだれかがすぐに答えてくれたりする。

 つぶやく内容に積極的に答えてくれる人の回答は多くの場合、まず正確である。企業の問い合わせ窓口などに問い合わせても、なかなか正対した答えが得られないという経験をした人も多いだろう。それとはまったく異なり、まるで自分専用のヘルプデスクがいるような感覚である。

 筆者も記者という職業を選んでいる以上、情報をいち早く手に入れるのは嫌いではない。むしろ、自分の興味のある情報を、だれよりも早く手に入れたいとさえ考えている。このような情報中毒ともいえる人間にとって、Twitterはなくてはならない存在と言える。まだこれらのメリットを実感していない人がいるとしたら、ぜひ体験してもらいたい。

 最後にちょっとだけ宣伝を。ITproでは、こうしたメリットのあるTwitterを活用する人が今後増えると考えて、Twitterの活用を始めた。ITproのアカウント(@nikkeibpITpro)で公開したニュースや、今読まれている記事などをつぶやいているほか、それぞれの記事の上部にTwitterでつぶやくためのメニューを用意した。

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