先日、「1994年に似ている、iPhoneとAndroidの今」というコラムを書いた。内容はiPhoneとAndroidを取り巻く2010年現在の状況が、1994年ころにAppleがMacintoshを、MicrosoftがWindowsを普及させようとしていた状況に似ている---というもの。たくさん読まれて、たくさんのご意見をいただいた。ありがとうございます。

 Twitterや、はてなブックマークなどでの言及は可能な限り、ほぼすべてを読んだ。記事を書いたら楽しく読んでもらえて、感想や意見がすぐに筆者のもとに戻ってくる。素晴らしい時代である。

 記事に対するたくさんのご感想やご意見を読んで、筆者が記事中で使った「状況」という言葉はぬるいと反省した。似ているのは「状況」ではなく「期待感」と書くべきであった。

 iPhoneやAndroidに対する期待は熱い。2010年1月21日にはNTTドコモとソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズからXperiaの、2010年1月27日にはAppleからiPadの発表がそれぞれあった。ITproはじめ多くの媒体に掲載された記事で触れられているのでここで詳細は述べない(Xperiaについては関連記事1関連記事2、iPadについては関連記事などをご覧いただきたい)。

 iPhoneや、その派生製品といえるiPad、Android搭載端末などが、既存のパソコンを置き換える新しいデバイスになる可能性がある。その認識が、iPhoneやAndroidに対する期待感を日に日に高めている。

1994年と最も違うのはスピード

 もちろん1994年と現在では、違うところもたくさんある。筆者が主張したいのはスピードだ。ドッグイヤーという言葉を思い直す時間もないほど、iPhoneやAndroidの進化や、それらを取り巻く動きは速い。

 先日、そのスピード感を示す象徴的なできごとがあった。2010年2月7日、@AkioHoshi氏はTwitterで、「ポメラで書いてiPhoneからQRコード認識結果をコピー&ペーストする一手間が面倒。いきなりツイートできるアプリはないのかな。Androidだったら、インテントで呼び出す形でもいい」と書いた(http://twitter.com/AkioHoshi/status/8763934685、一部編集は筆者)。ポメラは、キングジムのテキストメモ専用小型端末である。ポメラに入力したテキストは、液晶上でQRコードにエンコードして、携帯電話などの端末に転送できる。

 この発言を受けて、Androidアプリケーション開発者の@esmasui氏は、要望通りのアプリをすぐに開発した。そして、@AkioHoshi氏がつぶやいてから3時間13分後に公開したことをTwitterで告げた。「最低限の機能でマーケットにあげました。QR2Tweetです」(全文はhttp://twitter.com/esmasui/status/8769782412)。欲しいアプリケーションを手に入れた@AkioHoshi氏は「大感謝! 起きたら欲しいアプリがあった!」と大喜びである。

 筆者はたまたま、リアルタイムでこのやりとりを眺め、そのスピード感にひたすら感嘆していた。その日の夜、ITmediaから届いたRSSに『「起きたら欲しいアプリあった」Twitterで“Androidアプリ速攻開発物語”』の文字を発見した。記事化まで速い。

 なお、この記事の著者とみられる@kyuukanba氏は、#evandroidなるハッシュタグで、Twitter上の集合知を活用した記事制作を目指している。興味深い試みで、応援したい。興味があるかたは@kyuukanba氏のタイムラインを見てほしい。