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日経コンピュータ

Amazon EC2互換である意味

2010/02/01
中田 敦=日経コンピュータ

 皆さんは「Eucalyptus(ユーカリプタス)」をご存じだろうか。米Amazon Web Servicesが提供するクラウド・コンピューティング・サービス「Amazon EC2」と同じAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)で仮想マシンが管理できるインフラ環境を構築するオープンソースソフトウエアだ。社内に「Amazon EC2互換環境」があると何がうれしいのか。ユーザーの声を元に考えてみたい。

 まず、Eucalyptusでいう「Amazon EC2と同じAPI」の意味を説明しよう。Amazon EC2では、仮想マシンの作成や起動、仮想ディスクイメージの作成といった管理タスクをコントロールするAPIを外部に公開している(Amazon EC2のAPIリスト)。外部の開発者はこのAPIを利用すると、Amazon EC2の仮想マシンを管理するツールを開発できる。

 ストレージサービス「Amazon S3」のAPIも公開している。AmazonがAmazon EC2/S3のことを「プログラム可能なデータセンター(Programmable Data Center)」と呼ぶのは、APIを外部に公開しているからだ。米RightScaleのような「Amazon EC2の仮想マシンを管理するサービス」を提供するサードパーティが存在するのも、APIがあるおかげである。

Amazon EC2と同じ手法でXen仮想マシンを管理

 Eucalyptusは、オープンソースの仮想マシンソフト「Xen」の仮想マシンを集中管理するソフトウエアであり、Amazon EC2と同じAPIを外部に公開している。このため、同じ管理ツールを使って、Amazon EC2の仮想マシン(こちらの仮想マシンソフトもXen)と、Eucalyptusの支配下にあるXen仮想マシンの双方が管理できるのだ。

 Amazon EC2には様々な機能が存在するため、Eucalyptusを使ってAmazon EC2と全く同じことができるわけではない。それでもEucalyptusは既に、仮想マシンの基本的な管理機能のほか、仮想マシンへのアクセスを制御するAmazon EC2の「セキュリティ・グループ」という機能などを備えている。

 もともとEucalyptusは、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCサンタバーバラ)で開発されたオープンソースソフトウエアである。2009年には、Eucalyptusのビジネス展開を担う米Eucalyptus Systemsが開発者らによって設立された。

 Eucalyptus Systemsは、Eucalyptusを企業向けに売り込む会社という位置付けで、仮想マシンとしてXen以外に「VMware」への対応も進めている。最近ではLinuxのディストリビューション「Ubuntu」にもEucalyptusが組み込まれた

 ちなみに前述のRightScaleも、UCサンタバーバラから生まれたスタートアップ(ベンチャー企業)だ。UCサンタバーバラではほかにも、「Google App Engine」のオープンソース版である「AppScale」の開発も進んでいる。米Googleの分散処理ソフトである「MapReduce」や「Google File System」のオープンソース版として「Hadoop」があり、Amazon EC2のオープンソース版としてEucalyptusがあるように、Google App Engineにもオープンソース版があるわけだ。

日本でも始まるEucalyptusの利用

 話題をEucalyptusに戻そう。日本でもEucalyptusの利用が徐々に始まっている。既に有志が「日本Eucalyptusユーザーズグループ」を設立して活動を始めているほか、社内でEucalyptusを使い始めた企業もある。その1社が、日経コンピュータの新連載「検証クラウドコンピューティング」で取り上げたクロス・マーケティングだ。

 マーケティング調査会社のクロス・マーケティングは、2009年秋から業務システムをAmazon EC2上で運用している。既に70台のEC2仮想マシンを使用しており、EC2を活用することで3年間で5000万円近いコスト削減が実現できる見込みだ。詳しくは日経コンピュータ2010年1月20日号の記事「Amazon EC2、良いところ悪いところ」をご覧いただきたい。

 同社システム開発ユニットでエグゼクティブマネージャーを務める永井秀幸氏は、「現場のエンジニアから『サーバーを買ってほしい』という要望が途絶えた」「最近はあきらめたのか、サーバーメーカーの営業も寄りつかない」と語るほどだ。

 そういう同社でも、すべてのサーバーをAmazon EC2に移行できるわけではない。そこで社内で運用する一部のサーバーの管理に、Eucalyptusを使い始めたという。

>>「社内の運用をAmazon EC2に揃えたい」
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