「そんなこと3万人くらい気づいてますよ」。

 筆者が立てたある仮説を同僚に話してみたところ、不機嫌そうに言われたのが上のせりふだった。ある仮説とは、iPhoneとAndroidを取り巻く2010年現在の状況が、1994年に似ているということ。米Appleの携帯電話iPhoneは、日本国内での販売台数が300万台を超えたと言われている。それを追撃するのが、Googleの携帯端末向けOSであるAndroid。2010年中には、いくつかの国内メーカーからAndroidを搭載した端末が出荷されそうだ。この状況が、1994年ごろのApple Macintoshと、MicrosoftがWindowsの普及を進める状況に似ていると感じて、同僚に話してみたのである。

 話を聞いた同僚は不機嫌そうに「なにを今さら…」と言っている。引き留めつつ筆者は聞いた。「それは全世界で3万人?それとも日本で?」。彼は答える。「うーん全世界でじゃないですかねー」。どうやら3万人という数字は全く根拠がなさそうだ。記事はしっかりしてる彼だが、口では適当なことを言う。たいてい口の方が面白い。

AndroidやるならiPhone買わないと

 筆者がスマートフォン、具体的にはiPhoneやAndroid端末に対して、仕事として取り組み始めたのは2009年12月のこと。ITproが主催する「Android Application Award 2010 Spring」というAndroidアプリケーションの開発コンテストの仕事を担当することになった。iPhoneやAndroidの開発は、もともと気にしていたので好都合である。

 道具を学ぶときに重要なのは毎日使うこと。iPhoneもAndroidも普段から使っていない状態で、スマートフォンの仕事をするというのは、いろいろと勘が働かなそうでまずい。物欲もあって両方欲しい。お財布の都合もある。結局、台湾HTCのAndroid端末HT-03Aと、iPhone 3GSをじっくり比べて、iPhoneを買うことにした。2009年12月4日、ソフトバンクモバイルが始めたキャンペーンによってiPhone 3GSが新規、端末料金0円で契約できるようになったその日の朝、iPhone 3GS、黒の16Gバイトを新規契約した。既に所有していた従来型の携帯電話はそのままにして、iPhoneを買い増した。

 筆者はかつてからiPod Touchを利用していたこともあって「Touchに電話が付いたものなんだろうな」と思っていた。これは完全に違うことが、使い始めて分かった。ばらばらに所有している機能が1台に収まると、快適さがまるで異なる。全く別の機械に感じる。WiFiに加えソフトバンクモバイルの3G網を介して、いつでも、自由に、素早く、Webへアクセスできる。筆者はすぐに、便利で快適なiPhoneに夢中になった。不満は契約書の文言が仰々しいことと、ブラウザでAdobe Flashが動作しないことくらいである。