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日経SYSTEMS

プロマネの仕事に二つの変化

2009/11/06
森重 和春=日経SYSTEMS

 最近,2人のプロジェクト・マネージャ(プロマネ)の方と続けてお会いする機会があったので,「最近のプロジェクト・マネジメントはどうですか?」と聞いてみた。最近どうですかといっても,プロジェクト・マネジメントは「クラウド」や「仮想化」のような新技術のキーワードではないし,はやり廃りがあるわけでもない。問いかけた筆者自身,特に目新しい変化を期待していたわけではない。

 だが2人とも,「いや実は最近…」と話を聞かせてくれた。プロマネの仕事に,少なからず変化を感じているというのだ。そして2人が指摘した変化は,一見するとそれぞれ逆方向の変化に見えたので,筆者は興味を覚えた。

プロマネの仕事が減っている?

 1人目のプロマネAさんが指摘したのは「プロマネの仕事が減っている」ということ。具体的には,実装やテストフェーズなど,プロジェクトの後半戦になると,難しい判断や調整を迫られることが少なくなっているという。プロジェクト・マネジメントの手法が成熟してきた結果,実装やテスト段階で問題が発生しても,メンバーによる対処方法が明確になっていて,プロマネに頼る場面が減っているというのだ。

 プロジェクトにダメなメンバーが多ければプロマネが忙しく,優秀なメンバーが多ければプロマネは暇になる。それはそうだろうが,Aさんの指摘は,そうした属人的な話とは別の変化だと筆者はとらえた。

 IT業界はここ数年,赤字プロジェクトの撲滅に必死で取り組んできた。多くの企業がプロジェクトの見積もりやリスク管理,進ちょく管理などを厳しくルール化して実行したり,PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)を置いて監査機能を強めたりしてきた。これらの取り組みの成果が,プロマネ個人のスキルアップだけでなく,組織全体に浸透してきたのだろう。これはAさんの会社に限ったことではないだろうし,歓迎すべきことだと思う。

メンバー視点のマネジメントが求められる

 もう1人のプロマネBさんの指摘は,どちらかというとプロマネの仕事は増える方向の変化だ。「トップダウンのマネジメントではなく,メンバー主体のマネジメントが求められるようになっている」という。

 Bさんの会社は,いわゆる情報系システムの開発を手掛けている。情報系システムの開発は最近,「スコープをフィックスしないで,何度もスパイラル開発しながら,システムを作り上げていくプロジェクトが多い」(Bさん)という。いわゆるアジャイル開発に近い開発手法である。

 こうしたプロジェクトでは,事前に計画を綿密に練って,その計画とのかい離をプロマネ主導でトレース,コントロールするという,いわばトップダウンのマネジメントが通用しにくい。常に計画そのものが変化して,それに合わせてメンバー同士がフラットに仕事をする状態なので,メンバー同士のコミュニケーションのハブとなるようなマネジメントを求められる。結果として,プロマネの仕事は増える方向に働く。

 現在注目が高まっている,クラウド・コンピューティングやRIA(Rich Internet Application)を利用したシステム開発でも,アジャイル的な開発が向くと言われている。Bさんが経験しているような,メンバー主体のマネジメントのニーズが高くなることは,容易に予想できる。

さらなるプロマネ技術の向上が不可欠

 AさんとBさんの指摘は,異なる方向の変化に思える。しかし両者に共通するのは,いずれもメンバーが主体でプロジェクトを動かし,その分プロマネには,より重要な役割が求められるようになるということだ。プロマネの皆さんには,さらなるプロマネ技術の向上が求められるのである。

 例えばAさんのケースの場合,プロマネの仕事が減るといっても,プロマネに求められる仕事の質は,むしろ高くなるだろう。減ったプロマネの仕事は,比較的定型的な業務といえる。プロマネにはより厳しい判断,厳しい調整の仕事が集中するはずである。

 Bさんのケースの場合,コミュニケーションのハブとなるべきプロマネには,情報把握の仕方も指示の出し方も,複雑化,多様化するだろう。トップダウンのマネジメントとは異なる難しさがあるはずだ。

 そこでここからは宣伝である。日経SYSTEMSでは11月20日に,「図解と演習で磨く!プロマネ技術 2009秋」(詳細・登録サイトはこちら)と題して,セミナーを開催する。スミセイ情報システムの小浜耕己氏が,プロマネが身に付けるべき実践的なスキルやノウハウを,具体的な演習を交えて解説する。今年4月に開催して参加者の皆さんから大きな反響をいただき,追加開催を決めた。「プロマネ技術」向上のため,ぜひこのセミナーを活用してほしい。

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