仮想化がもたらす“フリーダム”先にはクラウドコンピューティング仮想化技術は、まだ進化の途上にある。仮想化技術を構成するレイヤーの中で、基本機能のハイパーバイザー部分は製品差が少なくなってきたものの、可用性や運用管理性を高めるといったテーマでイノベーションは続く。 今年のテーマの一つとして「フォールトトレラント(FT)機能」の実装が挙げられる。あらかじめ本番の仮想マシンと同じ処理を待機系の仮想マシンで実行させておき、本番サーバーの障害時は待機系に切り替える。 マラソンテクノロジーズがFTソフト「everRun VM Lockstep for Citrix XenServer」をリリースしたし、VMware vSphere 4もFT機能を備えた。国産の技術もある。NTTサイバースペース研究所が開発した「Kemari」は、オープンソースの仮想化ソフトXen向けに作ったFT機能。Kemari(蹴鞠)の名前は「みんなで協力して鞠を落とさないように頑張ろう」という意味を込めたという。平安貴族がシステムを支えるイメージが面白くて、筆者は好きだ。 これから仮想化はどこに向かうのか。道の一つはクラウドコンピューティングに通じている。サーバーやストレージといったインフラをリソースプール化するために、仮想化技術は欠かせないからである。 最近、筆者が注目しているのは社内やグループ企業を対象とする「社内クラウド」だ。JTBやパナソニック電工インフォメーションシステムズ、三菱UFJインフォメーションテクノロジーなどが既に、社内クラウド構築に取り組んでいる。各社はシステムの利用料金が高い、オーバースペックになりがち、といった課題に立ち向かいながらクラウド構築に動きそうだ。 日経BPコンサルティングがNTTデータ、新日鉄ソリューションズ、日本ユニシス、野村総合研究所と共同で実施した調査では、企業内クラウドに対して回答者の半数近くが肯定的だった。仮想化ソフトも、課金管理機能を加えるなどクラウド構築に向けた機能拡張に余念がない。 こうした広がりがあるから、筆者は今でも仮想化技術を追い続けているのだろう。 ここからは宣伝である。日経BP社は明日10月28日から30日まで「ITpro EXPO 2009」の展示会を東京ビッグサイトで開催する。今年も「仮想化 Special」のセミナーなど、仮想化を活用するための企画が目白押しだ。 筆者も「仮想化パビリオン」などの企画に携わっている。もう一つ、先に紹介した共同調査を基に、「プラットフォームの今後」をテーマにIT企業の方々とパネルディスカッションをメインシアターで行う。興味のある方は立ち寄っていただければ幸いだ。 さらに明日からの展示会に向けて、筆者は二つのムックの制作に携わった。一つは「すべてわかる 仮想化大全 2010」。サーバー仮想化の最新動向はもちろん、ストレージやネットワークの仮想化技術も網羅した。前者はEMCに、後者はシスコシステムズに寄稿いただいた。「徹底解説 Windows 7 & Windows Server 2008 R2」にもかかわった。仮想化ソフト「Hyper-V 2.0」をはじめ、新OSの機能をまとめた1冊だ。中堅記者2人の労作である。どちらもITpro EXPOで目に付いたなら、ぜひ手に取ってみてほしい。 キーワード
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