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オープンソース/Linux

記者の眼

日経Linux

オープンソース・ソフトでもうける方法

2009/10/08
森側 真一=日経Linux

 この不況下で順調に売り上げを伸ばしているITベンダーがある。Linuxディストリビューションのサポートをビジネスの主軸とする米Red Hatだ。

 Red Hatの直近の業績発表によると,2010年度第2四半期(2009年6〜8月)の営業利益は2754万2000ドル(1ドル100円換算で27億5420万円)で,前年四半期から29%増となった。年間でみても,2009年度(08年3月〜09年2月)の営業利益は,8252万1000ドル(同82億5210万円)で,前年から17%増である。日本国内の売り上げは公表していないが「グローバルの業績に準じている」(レッドハット広報)とする。

 調査会社の米IDCは2009年7月に,「オープンソースがもたらす収益は,2013年までに年平均22.4%の割合で成長する」という予想を発表した。不況によってコスト削減を図る企業が多いのが主な理由だ。

Red Hatしかもうからない?

 では,他のオープンソース・ベンダーも,もうかっているのかというと,決してそうではない。「Red Hatの1人勝ちだ」とRed Hat Enterprise Linuxを扱う国内中堅ベンダーのオープンソース・ビジネス担当者は漏らす。確かに,他のオープンソース・ベンダーから「もうかっている」という話は聞こえてこない。この差はどこから生じているのだろうか。

 オープンソース・ソフト関連のビジネス形態は,大きく3パターンある。

  1. ライセンス販売:オープンソース・ソフトを強化したり,他のソフトと組み合わせたりするなどしてライセンス販売する
  2. 保守サービス:オープンソース・ソフトのセキュリティ・パッチの提供やトラブル時の対応などのサービスを有償で提供する
  3. 周辺サービス:オープンソース・ソフトを使ったシステム構築やコンサルティング,教育の支援サービスなどを有償で提供する

 国内のLinuxディストリビュータであるターボリナックスやミラクル・リナックスは従来,(1)を軸に展開してきた。しかし,そのビジネスは成功しているとは言いがたい。オープンソース・ソフトによるライセンス販売で収益を伸ばすのは,やはり難しい。

 国内の中堅・大手ベンダーの多くは(2)と(3)を提供している。各社とも,ビジネスを継続できるくらいの利益は上げているようだ。ただ,企業システムの中核で使われている例は少ないので,大きな売り上げにはつながりにくい。

 (2)を主軸とするRed Hatの売り上げが順調に伸びているのは,同社のディストリビューションであるRed Hat Enterprise Linuxの利用者数が多いからだ。そこまでの利用者をもつソフトは少ない。ファイル共有ソフト「Samba」などの保守サービスを提供するベンダーの代表取締役は,ある講演で「サポートだけではもうからない」と述べていた。

 企業システムでオープンソース・ソフトの利用が進めば,市場全体は伸びるだろう。しかし,オープンソースはソースコードが公開されているので,技術を習得すれば誰でも参入できる。実際,Red Hat Enterprise Linuxのサポートを米OracleがRed Hatよりも安く提供する,といった現象も起きている。独自性がないサービスは,すぐにコスト競争に巻き込まれてしまう。

Googleと同じ道を目指すべき

 「ビジネス・モデルを考え直すべきときにある」。ターボリナックスの矢野広一代表取締役社長はこう述べる。その際に手本とするのは米Googleだ。

 ターボリナックスはGoogleのように,オープンソース・ソフトを使って価値のあるサービスを提供しようとしている。実際,中国企業向けに,同社が扱うオープンソース・ソフトを使った電子商取引(EC)サイトのサービスを展開し始めた。

 サービスで勝負するなら,商用ソフトを使ってもよいのではないか。こんな疑問を投げると,矢野社長は「自分で保守したり,工夫を加えたりできる点が商用ソフトと違う。成功した企業の多くはオープンソースを使っているが,単に安いからではない」と説明する。ソフトの技術力を生かしたサービスがもうけどころというわけだ。

 オープンソース・ベンダーが,今からRed Hatのようにスケールメリットを得るのは難しい。そうなると,Googleのような道を目指すしかないことになる。少なくとも製品やサービスに何らかの独自性を出していく必要はあるだろう。

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