インターネットに代表されるIPネットワークで通信相手を識別するのに使われるIPアドレス。そのIPアドレスがまもなく枯渇すると予測されている。現在主流のIPv4のアドレスが早ければ2011年にも底をつくというのだ。
2011年といえば,地上波のテレビ放送がアナログからデジタルに切り替わるのと同時期になる。それなのに,地上デジタル放送に比べ,IPv4アドレスの枯渇についてはまだまだ企業ユーザーの認知度が低いように思える。
そこでITproでは,IPv4アドレス枯渇問題に関する認識と,その問題への対処状況について調査した。2009年8月17日から24日にかけてアンケートを実施し,合計2045人のITpro読者から回答を得た。
IPアドレス枯渇の影響度合いの認識に差
最初に「IPv4アドレス枯渇問題」を知っているかどうかを質問した。その結果,85.4%が「知っていた」と回答。「知らなかった」は14.2%にとどまった(図1)。
ただ,「知っていた」の85.4%を多いと見るか少ない見るかは,判断に迷うところだ。というのも,ITpro上では,「IPアドレス枯渇カウントダウン」という特番サイトを立ち上げ,周知に努めてきたからである。IT技術に興味を持つITpro読者でさえ,8人に1人が「知らなかった」と回答したという事実は,まだまだIPアドレス枯渇問題が広く認識されていない表れといえるだろう。
ここから先は主に,IPアドレス枯渇問題を知っていた読者に対する調査結果になる。
続いて,IPv4アドレス枯渇時の,仕事で使っているネットワークへの影響度合いを予想してもらった(図2)。もっとも多い回答は,「ごくわずかの影響は出るが,業務に支障はないと思う」の31.8%。やや楽観的な見方だ。より楽観的な「まったく影響はないと思う」の6.1%と合わせて4割弱の読者が「ほぼ影響なし」と見ている。
一方,もっとも悲観的な「まったく使えなくなるなど甚大な影響がある」と予測した人は11.0%。「一部アプリケーションが利用できなくなる」(16.9%),「一部ユーザーと通信できなくなる」(23.6%)と合計すると,5割強の読者が「なんらかの影響はある」と予測した。また,「わからない」という回答は約1割あった。