webmasterが解散して,www.linux.or.jpの更新が終わったようです。

JLAへのウェブサイトの返還およびwloj webmasters解散のお知らせ

 コミュニティ活動にありがちな,「1年に1歳平均年齢が上がる」ことから結局逃れられなかったのが残念です。とは言え,この手のコミュニティは,どんどん規模を拡大するような性質のものとは違いますから,仕方ないとも言えます。

 webmastersの活動期間は約10年なのですが,このような「コアチーム」的集約コミュニティが10年間維持できたというのは,なかなか大変なことです。先日もLinuxカーネルのコアの一人であるAlanがLinusと喧嘩(?)して,「もう来ねーよ」的なことになったりしましたが,小人数のコミュニティだと個人的な感情の問題とかもありますから,長い期間安定したコミュニティであることは難しいことです。また,「10年」という時間は人の環境の変化から見れば十分長い期間ですし,ましてやwebmastersの人達のような「青年」にとっては無限に近い長さと言っても言い過ぎではないでしょう。そういったことを考えると,10年以上続けたことを誉められることはあっても,今解散することになったことを非難されることはないと思います。

 ただ,FLOSS(Free/Libre and Open Source Software)が一般的なものとなり,定番ソフトの「寿命」が伸びていることを考えると,「コアチーム」のようなコミュニティを長く維持していくためのノウハウを得る必要はあるなと感じます。10年以上使われているFLOSSはかなりありますし,LinuxやRubyを見ていると「10年頑張ってからが勝負」といった感じさえありますから。

「使っていることの表明」の必要性

 前回,オープンソースへの参加の第一歩は「使うこと」だという話をしました。そして,その「使うこと」の内容は問われないはずだという話もしました。

 ところが大変残念なことに,これは「参加した」という意味はありますが,それ以上ではありません。「使った」という事実は存在しても,それだけではそのソフトウエアの作者を含めて誰にも影響は与えません。本当は「使った」のですから,「ユーザーベース」の母数とはなるはずなのですが,FLOSSは「出荷」を数えることはあまりないので,統計に乗ることは困難です*1。また,逆にそうであるがゆえに,「使う」ということは何の貢献ともみなされなかったりするわけです。

 そういった状況は良いとか悪いとかではなく,「FLOSSの本質」に近いものですから,使っていることを表明すらしていない状態を「フリーライド」と言われてしまっても,ある意味しょうがないとも言えます。「貢献」という意味では,せめて統計には載ってほしいところです。かつてはLinuxユーザーを数えるプロジェクトなどもありましたが,結局これと言った成果は出ていないようです。

 ですから,「使っている」ということと,「使っているということの表明」は統計の上では実質同じものとなってしまうことが少なくありません*2。もちろんイコールであるとまでは見なされないですが,「使っている」ということを積極的に表明しておいた方が,いろいろな人にとってメリットになります。

*1 ミラーされたりパッケージに入れられることのあまりない業務システムのFLOSSは本家サイトのダウンロード数で語られることもあります。もっともこれは「ダウンロードしたけど使ってない人」も数に入ってしまいますが

*2 各種アンケート調査(例えば日経コンピュータの調査など)に回答すれば,当然統計に上がって来ます

つぶやいてみる

 「使っていることの表明」で一番簡単なのは,twitterやblogで「使った」と書いてみることです。特にtwitterではあまり長々と書く必要がない上に,情報の伝播が速いので,「手軽に効果的に」という点で良いでしょう。私もtwitterのタイムラインに書かれたので興味を持ち,そのソフトウエアのサイトに行ってみたことは少なくありません。「ちょっといいかも http://...」というメッセージだけでも,クリックしてみたくなることもあります。

 twitterでなくても,例えばblogで書いてみるのも良いでしょうし,Webサービス系のアプリケーションであれば,「Powerd by ...」とか入れてみるのも良いでしょう。「使ってるよ」「応援してるよ」ということを表現するというのは,そんなに大変なことではありません。

 これらはとても簡単なことですし,積極的なアクションとは言えないかもしれませんが,完全なフリーライドでいるよりはずっと価値があります。