いきなり宣伝で恐縮だが,慶應義塾大学のSFC研究所次世代Web応用技術・ラボ(AWALab),NTTドコモと共同で,「ビジネスキャンプ」を開催することにした。テーマは,米グーグル主導で開発されたモバイル機器向けソフトウエア基盤Android。このAndroidを通じてモバイルとWebの最前線を知り,サービス開発の実際を体験してもらおうという趣旨である。場所は慶應大学の日吉キャンパス,8月28日(金)午後と29日(土)の1日半のスケジュールで開催する(詳細はこちら)。

 Webサービスの開発に力を入れるグーグルが,モバイル機器向けにAndroidも提供することに象徴されるように,このところモバイルとWebの距離は一段と近くなっている。かつてiモードが登場したときには,当時から既に広く普及していたマークアップ言語HTMLをベースとすることで,コンテンツの大量生産に成功した。このときは,先行するパソコンの世界の資産をモバイルがうまく活用する,といった構図だった。

 それに対して今起こっているのは,Webサービス開発におけるモバイルとパソコンの同時進行,さらにはモバイルが主導するWebの進化である。例えば,HTML 5には,モバイル利用を想定したオフライン・アプリケーションを可能にするAPIが用意されている。米国のIT企業はWeb技術の標準化団体であるW3Cに積極的に関与し,モバイル利用を想定した規格を提案しているという。さらに,iモードの生みの親である夏野剛氏は,この6月にW3CのAdvisory Boardに就任した。これも,モバイルとWebの距離が近くなっていることを象徴するものだといえるだろう。

 今回開催するイベントには,その夏野氏と,W3Cの日本側サイト・マネージャを務める慶応大学の一色正男教授が登場し,モバイルおよびWeb技術の最新動向を解説する。このほか,Android向けアプリの開発体験講座,最近話題の拡張現実(AR)に関する講座などを予定している。会場の都合で100人限定のイベントだが,今後のモバイル・ビジネスを展望する熱い議論が交わされる1日半になることを期待している。