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芦屋広太一つ上のヒューマンマネジメント

どの会社でも通用する仕事術(5)交渉を成功に導く7つのステップ(前編)

2009/07/13

 前回は,どの会社でも通用する仕事術を構成する7つの力のうち,3つめの「仕事を頼む」を説明した。7つの力は以下の通りである。

(1)教える
(2)マネジメント
(3)仕事を頼む
(4)交渉する
(5)文章を書く
(6)褒める
(7)叱る

 どの仕事でも,必ず人に何らかの依頼をしなければならない。特に大きな仕事を進めていくためには,前回紹介した仕事術が非常に役立つ。ぜひ,実際に試していただきたい。筆者のWebサイトの読み物チェックリストも併せてご覧いただきたい。

 今回と次回は,4つめの「交渉する」を取り上げる。これも,どの会社でも使える重要な仕事術である。今回は「立場の上の人を動かす」交渉術をテーマにしたい。なぜそれが重要なのかを理解していただくために,まず筆者の経験を紹介しよう。

「人柄が良い」PMほど壊れていく

 先日,A社の中堅PM(プロジェクト・マネジャー)を務める斉藤氏(仮名)が,教育コンサルタントである筆者のところに来た。A社は数社とシステムを共同化するプロジェクトを進めようとしており,斉藤氏はPMに就任する可能性が高いと言う。「システム共同化プロジェクトにおけるマネジメントに関してアドバイスが欲しい」というのが斉藤氏の依頼だった。

 斉藤氏は38歳で,社内のシステム開発でPMを何回も担当した経験を持つ。話をしてみると非常に聡明で,システム開発の知識も確かだと感じた。人も良くて,人物としても問題ないとの印象を抱いた。

 しかし,斉藤氏がこのままシステム共同化プロジェクトのPMを務めるのは難しいと,筆者は感じた。システム共同化をはじめとする「システム統合」のマネジメントでは,人柄の良さが裏目に出るケースが多いからだ。

 筆者はかつて,7社が参加するシステム共同化のプロジェクトスタッフを1年半,担当した。このプロジェクトは,7社で同じシステムを共有して,コストを大幅に削減するのが狙いだった。そのために7社が出資して新たにシステム運用会社を設立し,運営することにした。

 7社は新会社に業務を委託し,それぞれ委託料を払う。システムとしては,1社の販売管理システムに6社の販売管理システムを片寄せする形を採った。つまり,残るのは1社のシステムだけで,6社のシステムは消えることになる。

 複数社によるシステム統合を経験した方は分かると思うが,片寄せのシステム統合では大きくもめることが多い。理由は大きく二つある。まず,システムが消える側の会社が「ウチのシステムが持っていた機能を残せ」と主張する場合が多いこと。もう一つは,新システムに機能を追加する必要が生じた場合に,コスト負担をどうするかがなかなか決まらないことだ。

 システム統合プロジェクトでは,この2点が常に混乱をもたらす原因になり,PMを苦しめる。「人柄がよい」と言われる人ほど,苦しむことになる。「機能を残せ」という要求されると,つい断わることができず,作業を調整しようとしてしまうからだ。

 しかし,他の企業からは「そんな機能はいらない」と大反対されるのが常だ。機能を追加しても反対されるし,しなくても反対される。結局,何も進まない状態に陥ってしまう。

 万事がこんな状態では,PMはいろいろな利害関係者にはさまれて,がんじがらめになる。このような状態で,筆者の周りの「人柄がよい」PMたちは心を壊して,何人も消えていった。筆者に相談に来た斉藤氏にも,同じ印象を抱いた。

>>「立場の上の人」との交渉術は究極の仕事術
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著者プロフィール

芦屋 広太(あしや こうた)
 システムアナリスト/教育評論家。SE,PM,システムアナリストとしてシステム開発・システム統合などを経験。この過程で調査・分析した内容を「ヒューマンスキル教育」としてモデル化。将来を担う人材研究に利用する。著書にITproでの連載をまとめた「ITエンジニアのための人を動かす9の基礎力と27のエクササイズ」(日経BP社),「ITエンジニアのための仕事を速くする7の基礎力と9のエクササイズ」(同),「「たった一行」で思いどおりに仕事を動かすメールの書き方・返し方(インプレスジャパン),「仕事を成功させる[芦屋式]コミュニケーション5つの技術」(ソーテック),「IT教育コンサルタントが教える 仕事がうまくいくコミュニケーションの技術」(PHP研究所),「SEのためのヒューマンスキル入門」(日経BP社),「Dr芦屋のSE診断クリニック」(翔泳社),「話し過ぎない技術(毎日コミュニケーションズ)」などがある。Twitter:@hongojk、facebook:kouta asiya(clinic@a-ron.net)。

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