言葉の常備薬［8］情報処理技術者試験に合格するための言葉

2009.03.26

　4月19日（日）は、情報処理技術者試験の実施日です。合格に向けて猛勉強されている人もいれば、ちょっと心が折れかかっている人もいるかもしれません。そこで、今回は、受験者の皆さんを勇気付ける言葉をお届けしましょう。

試験に合格することは、ゴールではなくスタートである

　この言葉は、筆者がお世話になっているセミナー会社の社長さんから聞きました。試験勉強が順調に進んでいないと、何か理由を付けて逃げ出したくなるものです。よくあるのが「この試験に合格しても、仕事に結びつかない」という理由です。確かに、その通りかもしれません。でも、冷静になって考えてみてください。世の中に、合格するだけで仕事が上手になる試験なんてありません。試験に合格する目的は、自分がその分野で仕事をする意欲と知識がある証を、対外的に示すことでしょう。つまり、試験に合格することは、ゴールではなく、新たな仕事のスタートなのです。

もしも合格できないと、この会社にいづらくなるからな

　筆者は、基本情報技術者試験の対策講座の講師として、毎年10社ぐらいのIT企業で指導を行っています。多くの企業が30%ぐらいの合格率なのですが、1社だけ70%もの合格率となる企業があります。その企業で行う講座はたった1日だけで、後は各自の学習に任せています。教育部門の担当者さんに、どうしてこんなに合格率を高くできるのかと尋ねたところ、「試験に合格しないと、この会社にいづらくなるからな、と言うだけです」という答えでした。ここまで脅さなくてもいいかもしれませんが、試験に絶対合格しなければならないという雰囲気のある企業は、どこも合格率が高いようです。

1回で合格した人は、それ以上伸びない

　これは、試験に落ちたらどうしようと心配している人に伝えたい言葉です。筆者の友人に、同じ試験に何度もチャレンジして合格できた人がいます。その人が「矢沢さんは、1回で合格できたのですか？」と聞くので、もちろん1回で合格できましたと答えると、「矢沢さんは、それ以上伸びない！」と断言されてしまいました。一生懸命勉強すれば、試験に落ちても悔しさが残ります。その悔しさがバネとなって次につながるというわけです。その人は、今でもチャレンジを続けていて、より高度な試験に合格しています。1回で合格した筆者は、チャレンジする意欲を持てずにいます。

今度の試験で絶対に合格すると心に決めろ

　落ちたら悔しくなるほど勉強するには、合格への強い意欲を持つことが重要です。試験には何度でもチャレンジできますが、「落ちたらまた受ければいいや」という弱い気持ちでは、勉強に熱が入らないでしょう。「何度もチャレンジするのは嫌だ。今度の試験で絶対に合格するのだ」と、自分に言い聞かせて勉強しましょう。これは、あるベテラン講師に教わったのですが、同じ試験を2度受けない意思を示す儀式として、教材を切るとよいそうです。章ごとに切ったり、問題ごとに切ったりします。「そんなことをしたらもったいない」と思うかもしれませんが、今度の試験で絶対合格するのですから、試験後に教材は不要なはずです。教材を切って持ち歩けば、短い時間を割いて勉強できるという効果もあります。

仕事中に堂々と勉強しろ

　いろいろな人から聞いた言葉を紹介してきましたが、最後は筆者の言葉です。「仕事が忙しくて勉強時間が割けない」と言う人が多いようですが、勤務時間中に勉強してはいけないのでしょうか。ITエンジニアは、知識を売る仕事をしています。知識は、勉強によって得られます。勉強は、ITエンジニアにとって仕入れです。仕入れは仕事なのですから、勤務時間中に堂々と勉強していいはずです。「仕事に関係する情報収集なら仕入れだと認めてもらえると思うけど、試験勉強はダメなんじゃないかなぁ」と心配するなら、上司に相談してみてください。もしも筆者が皆さんの上司なら、「勤務時間中に自分のデスクで堂々と勉強しても構わないが、もしも人目が気になるなら空いている会議室を使いなさい。ただし、仕事の成果を必ず出さなければいけません」と言うでしょう。こう言われて、「そこまで真剣に勉強できない」と思うようでは、とても合格なんてできませんよ。

　情報処理技術者試験には、いくつかの試験区分がありますが、最も受験者数が多いのは基本情報技術者試験です。試験対策にお勧めの本を紹介しましょう。アイテック刊の「本試験問題」と「予想問題集」です。情報処理技術者試験の過去問題は、すべて公開されています。これらの本は、過去問題に詳しい解説を付けたものです。「本試験問題」には、最新の試験問題3回分が掲載されています。「予想問題集」には、分野ごとに数多くの試験問題があります。どちらを使う場合でも、できなかった問題を繰り返し解くという勉強方法がよいでしょう。筆者も、その方法で勉強しました。