前回は,駄目な文章の要素を説明しました。よい文章の定義は難しいですが,誰が見ても駄目な文章の定義は比較的簡単です。
そこで前回の最後では,「駄目な文章を書かない」ための「6力」,すなわち6つの力を説明しました。
(2)納得させる~論理的記述力
(3)一目で認知させる~構造化力
(4)理解しやすくする~平易表現力
(5)正確に伝える~正確表現力
(6)少ない文章量で伝える~短文表現力
今回と次回で,これら6つの力について具体的に説明していきましょう。
(1)確実に伝える~論点絞り力
・「一番言いたいこと」を1つに絞り,その理由,詳細,具体策と展開する
・関係のない話や,無駄な話は排除する
相手に伝えるために必要なのは,「言いたいことを絞る」ことです。関係しそうなことを思いつきで書いていく。こうした論点を絞らない文章は分かりにくく,説得力が低くなります。
まず,論点を絞り,その論点に沿って,
「何を言っているのか」
「なぜそうなのか」
「具体的にはどういうことか」
「詳細に言うとどうなのか」
が明確にして書かなくてはなりません。たとえば,
システムパッケージの導入について 開発2部 山田
・パッケージを数社評価してみましたが,どのパッケージも機能が少なく,当社の業務にそう簡単にはフィットしそうにありません。
・カスタマイズが多くなると思われますので,どうにかすべきです。
・また,パッケージの中には,パラメータ設定が弱いものがあり,これへの対策も必要です。
・なお,外部コンサルタントに確認したところ,パッケージを導入する場合は,ベンダーのSEの動員力というベンダーのパワーがポイントになるということです。
・カスタマイズの件,お願いします。
以上
この文章は論点が不明確です。
「カスタマイズが多くなると思われますので,どうにかすべきです。」
「カスタマイズの件,お願いします。」
という2つの記述から,カスタマイズを少なくなるための方策を
(1)IT企画課長に相談したい
(2)IT企画課長に考えてほしい
のどちらかだと読むことができそうですが,それにしても内容が曖昧です。
また,「パラメータの設定」や「ベンダーのパワー」の話が出ていますが,中途半端な書き方なので,論点がぼやけています。